起源

ギャルゲーを本格的に始めたのは大学四回生のころからである.

ギャルゲーに本格という言葉はあまり繋がらないかもしれない.本格ギャルゲー,とかさ.

だとしても,TRPGというゲーム(電源不要)で10年間いかれてた僕の心に電源を入れたのがギャルゲーであるのは間違いなくて,それは今に至る10年以上も続く本格的な趣味の始まりだった.

当時すでにギャルゲーは若い人のためのものであった,と僕ですら言います.だいたいサークルの後輩たちが熱狂してたんですよ.僕より上の世代はあんまり.それで雫とか痕とかなんか1文字のゲームが大流行していてね.僕は上よりは下と仲良かったんだけどMacユーザでさ.ついでにいうとDOS/Vユーザでもあったから98のゲームなんかできやしねぇ.

いいんです.TRISTAN超面白かったから.

http://www.littlewingpinball.net/mediawiki-ja/index.php/TRISTAN_Features

あとMacでTRPGの同人誌を山ほど作った.たくさんフルカラーCGを描いた.16色などくそ喰らえだ.そんな4年間.

そのうち先輩から不要品のPC-286を貰ってきてようやく98のゲームも出来るようになったのでした.98用の3.5インチドライブがなかったからDOS/Vのほうへまずデータを入れてZMODEMで98側のHDDヘシリアル転送.遅いし何度も失敗しました.なにゆえMacでは既にCD-ROMの時代だったというにそんなことをせねば…….

あとこのHDDが時代ものでよくジャムるのでした.ゲーム中は机を揺らしてはならない!

とかずいぶん苦労をした末に,TRPG馬鹿だった僕という先輩は,今にして思えば年甲斐もなくギャルゲーマーになっていったのだといいます.

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僕が雫について語るなら瑠璃子さんと思われそうだけど,当時はもちろんさおりんのファンだった.なんで今みたいに瑠璃子さんを好きになったのか全く覚えてない.多分だけど,つるんでた二人の友人の一人がみずぴーでもう一人がさおりんだったから棲み分け的に僕は瑠璃子さんになったのではなかったろうか.

高校の頃,僕は西武ファンだったのだけど野球ゲームでセ・リーグ縛りだったから仕方なく余っていた巨人を選んでいた.巨人がずっと好きだということはないが,今でも藤田巨人についてだけはファンである.

好きになるにあたって最初にどう選んだかは必ずしも問題ではない.しかも,その選択が余りものという形をとることも珍しくはない.むしろ,余りものであればこそ思慮臭さや意図臭さを超えるということもあるのだろう.

暮らしのなかではなかなかたどり着けない境地であるが,ゲームにまつわる好意はこういうところに充分な余裕をもっている.

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さおりんについては普通の可愛い女の子がこんなすごいことに,という衝撃があったので,瑠璃子さんのほうがずっと普通に見えたんじゃなかったかな.

ギャルゲーやってるうちに普通の可愛い女の子がすごいことになるのは当たり前で慣れてきたのでようやくずっと普通な瑠璃子さんの気持ちに近づくことが出来た,というのもあったかもしれない.

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iPhoneのときはぜんぶ人差し指だけで描いてたけれど,iPadくらいのサイズになると中指も使えるようになる.人差し指で輪郭を描いて中指で塗る,という感じ.

指とガラスがきゅっきゅとこすれてしまうので,そういう意味でiPadはもっと紙みたいになさわり心地になるとよいですね.

(Tool: Brushes + iPad)

Himawari no sakamichi

CGが埋まってないと思ったら,おや,まだ続きがあるぞ.

……俺を引っ張る.

片方は妹……,

片方は幽霊……いや幻覚?

意味が分からん.

可笑しい.酒神の戯れ.

羽咲「あはは……私あれから大きくなったからあの時よりも向日葵が小さく見えると思ってたよ……」

由岐「どっちにしても向日葵は人間より大きいからねぇ……逆にさ,花の部分に近づいた分,大きく見えるのかもね」

羽咲「あ,そうか……あの頃は小さすぎて,そのてっぺんが良く見えなかったから……」

由岐「そういう事だね……まぁ世の中には自分が大きくなっても,大きいまんまなものもあるって事だよ」

羽咲「そうですね……向日葵はずっと,ずっと大きかった」

こっちのほうが判りやすい.とはいえ由岐の謎解きは気に入らない.あなたはもうお姉ちゃんになっちゃったから年少者の大きさのとらえ方が判んなくなってんじゃないかな.向日葵と対面する僕ら弟妹の気持ち.それは背丈では測れない.向日葵はずっと,ずっと大きかった.

Which Dreamed It ~ Wonderful every day

僕は自分より大きい人の背丈があんまり分かんないです.10センチくらい高い人までは自分と同じくらいに思う.向かい合ってるときは特に判らないです.

身長を数字で聞いたり写真撮るみたいに横に並ばないと判んない.それは測定.彼らの背が高いことは本人から聞いて情報としては理解してるんだけど,面と向かって話してるとそういうのはない.

自分より低い人だと高い人ほどのずれはない,といっても僕より数字の上では20センチ背が低いはずの姉は僕にとって5センチほど低いくらいの感じでしかない.

面と向かうことは測定じゃなくて,向かい合った目と目がなんかそういう調整をしてるのだと思う.

「ガキには,大人は大人にしか見えないんだよ……」

「ガキの時はさ……由岐姉は大きな存在だったから……」

「大きい」じゃなくて「大きな存在」です.小さい頃の僕は大人を見て身体の大きい人だなぁ,と思った記憶がない.運動をしなかったせいかもしれないけれど,大人とはけして大きい人ではなく,大人はそのまんま大人であるようにしか思えない.

おっきかった由岐姉に背丈が追いつくお話,ではない.あるいは由岐姉の背中に追いつく話,とかつい考えなしに言いそうになったけど,由岐姉はいつもこっちを見てくれていたから背中なんて知らないよね.

背丈でも背中でもない存在の大きさは対面することによって記憶される.ならば,目と目じゃなくて手と手が触れあったときこそが意外.

「あの頃と全然違う……ほら……」

由岐姉は俺の腕を掴む.

「あんなに細かった腕もさぁ……私より全然太いじゃん……」

「ああ……あの時は由岐姉の手がこんなに小さいって知らなかったよ……」

「でも……それでも俺の胸囲より小さいだろ……身体だって俺より全然小さい……」

触って測定してようやく身体の太さや大きさの違いに気付くのだ.

だからどうということもなく.それらはただ7年という数字を言い換えただけであって.最後に対面することが叶うのならば,由岐姉は由岐姉であるようにしか見えない.

この作品についてなにか言おうとすると僕が(僕らが)この十年以上考えてきたことを繰り返すだけになりそうになるよ.

だからなるべく新しいことを言います.言おうとします.

Jabberwocky

章タイトルがなんでJabberwockyなのかは以前Jabberwockyの話書いたときに偶然言い当てていた気がします.

森絵都のカラフルに先行されている部分をさておくならば,あとは自分が絵として見えていてどつきあったり触れあったり恥ずかしがったりすることができる,そういう酒神の戯れみたいなところでは俺つばよりむしろヤミ帽を思い出しました.

いろいろ気詰まりでしたが羽咲のおかげで僕は大変元気になったといいます.

Looking-glass Insects

辛いところはスキップ気味に読みました.

いざ屋上から飛ぶというときに口から流れ出す言葉はシラノの話で,まるでフィクションがざくろさんを連れ去るように思える.本なんか読んでるからそういうことになるんだ,と言いがかりみたいに僕は思う.

人は何かありえない衝撃を受けるとかつて親しんだフィクションの驚異とか空想に乗っ取られるようになるときがあるんだ.濡れ衣かも知れないけど僕らそれを原因であるかのように憎む.僕らにとってもありえない原因よりも見えやすいそれを憎ませてくれよ.

その点,サウンドオブミュージックは安全だった.だから僕らは迷わずそちらを棺に入れたのだ.

念のため書いておくけど,フィクションに取り憑かれたがために人がおかしくなる場合よりも人がおかしくなったがためにフィクションに取り憑かれる場合のほうが多いであろうよ.

リト

19歳だったのかー!

言われてみればもちろんまるで19歳であるかのように幼いのですが,とりあえず,すまぬ.

いや,いま読み返したら不意に『十九才』の文字が目に入ってきた.これまでは目が認識を拒んできたというのか.女の子の年齢を実際より低く見積もったのは初めてだなぁ.

リト子の服といえばあのヘッドホンのような何かですが,それはそうとして,女魔法使いの衣装は胸元が命,と言わんばかりの開いた胸元も気になります.大学の初めてのクラスコンパで高校生のときは着なかった夜のおでかけ用を着てきた人みたいなのだらよ.

彼女の姿を何度も観察しなおしてようやく背中にクリスナイフ差してることに気付きました.気付いてる人は最初から気付いてただろうけど,僕は一週間くらいかかった.何度も目を通すことによって発見があるのはなにも文章に限ったことではないです.