はじめての

おかいもの,というのは楽しようと思えば楽なもので,はじめての場所でもそのうち店員さんがちょちょちょちょっと寄って来て,何かお探しですかと聞かれればあとは頷いてればいい.それだけで済ますなら知識もうまさも必要ないんだけど,そもそもはじめてのお店へ入るときの緊張感っていうのは,あるわねえ.

散髪屋さんと服屋さんはハードル高いよね.だから,一度なりと勇気を出して入ったお店は入りやすくて,もしかすると彼らの商売はそういう敷居を越えたところにある繋がりに本質があるのかなと思います.

恋愛家庭教師ルルミ★Coordinate!では,店員さんと話すようなお店へ入ったことない鮎久くんを連れてルルミさんが服屋さんへ入るのですが,連れて入ってもらえた時点で大勝利ですよね.あとはもう店員の池下さんという気さくな人が近づいてきてどうにかしてくれる.いや,この池下さんに何度も会いに行く話なんです,これ.可笑しいよね.怖れるよりも,たとえ商売っ気であろうが人に委ねてどうにかなってしまうというのは,ときどき思い出すべき生きやすさではあると思います.

Amazon便利だよね.人と喋らなくてよいから好きです.まぁ,それはそうとして,Amazonで終われない事態が訪れたときには,お店との付き合いを考えることもあるって.それではじめからバレバレなことですが,このルルミさん,自分の個人的な事情で鮎久くんをどうにかしようと思っているところが好みです.あらすじにあるみたいに国家プロジェクト的ななにかで薔薇色のAmazon生活をどうこうされようなんて話は勘弁ですから.

恋愛家庭教師ルルミ☆Coordinate!

恋愛家庭教師ルルミ☆Coordinate!

ほんと素敵ですよね.大好きです.店頭で見かけて直感で購入する醍醐味はこういうところにあります.今年は面白いゲームが多くて当たり年だね.

パッケージの青い髪の人が気に入っていたので,そのままその方向に進めます.そのちえりさんも鮎久くんに100%ひと目ぼれという流れでぐっときます.ひと目ぼれいいですよね,ぜんぜん訳わかんなくって.無理に理由を探すなら,鮎久くんたしかに天然可愛いのでビギナーズラックというか,いや,初心っていうのは常にそういうことなんですが,これは初対面から可愛く見えるかもしれないな,と思いました.

プロ店員さんと話しておくっていうのは本当よくて,僕も店員さんじゃないけど銭湯のおばちゃんとか大家のおばちゃんとか階下のおばちゃんにいろいろ教えてもらったようなものだけど,とりあえず,なんとなく話をするということが人間同士のあいだに有り得るんだ,というところから始められる.その上に気遣いとかいろいろ考えるのは大変で,ちえりさんとの話はそういうことなんだけど.ちえりさんがいい人で,それで鮎久くんが可愛くて,良かったですね,おふたりさん.

どう見ても大学生カップルなんですが作中でとくに説明はなし.ルルミさんも年は隠そうとするけど,20代前半よねぇ.マニュアルなどあとで見直すとちえりさん鮎久くんの大学同期ということになっててそうよねー,と頷くけど,そんな風に言わんで済むところは言わんで進める調子も気に入っています.あとギャグが面白いのだけど,ときに乱暴なそれを面白く仕上げる優しさの下地が感じられるところもよいです.

あけっぴろげなところから初心で誠実なところへおさまってゆくという流れが好きなのだなぁ.フラワーズもそういうところが好きだったのだと,本作に触れて改めて言葉にすることが出来ました.

ありがとう.