勢いで最後の最後まで解いてしまった.以下,話の核心に触れる部分もあるので,やってる最中のひとはご注意を.
「あの、素晴らしい をもう一度」の空白のとこは,まぁ,何を入れてもいいんじゃないかと.コーヒー,なんてどうかしら.例のコーヒー.
あの,素晴らしいコーヒーをもう一度.朝食のときリト子の入れてくれるコーヒーが,「うまいんだ、これが。」
ごめんなんかいま捏造した.というか他と交ざった.
でも,日蝕の話とかね,昔したときのこと.ふたり,つかの間の楽しかった記憶のその傍にコーヒーがあったとしても良いんじゃないかな.
リト可愛い.
さて,水晶の力に関する設定を信じるのならば,この話の残り全てはうさんくさいということになります.世界と時を構成する力というのはそれくらいやっかいなもので,あの世界においてだれがなにをどんな風に変えてしまっているのかは語り手が彼本人であるためよく判んないです.そもそも彼の意志すらそのままに反映されているわけじゃないという駄目押し.
水晶の力というのは,正しい世界というのはよくわかんない,ということのファンタスティックな言い換えかもね.神様みたいな視点で書かれていたら正しさの水準をそこに置いておくのが妥当だろうけど,この話はずっと彼の視点でさ.あの過去らしき話も彼の視点であって,しかもその妥当さは彼をきっかけとして変わってしまった世界における出来事との整合性の上にしか成り立っていない.
勇者は彼が言うように嫌なやつだったのかしら.リトが好きになった人で,リトにとっては王子様みたいな人なんだったらそれはそれで僕は良いです.
彼に後悔があったとすれば,そういうのひっくるめてのことだと思う.彼は彼が過去として見た世界に対して責任をとったのではなくて,人の子ではあずかり知れぬ正しさの水準,つまり世界と時の構成の在り方に対して責任を取ったのではないかな.水晶に触れた時点で過去とか記憶とかそういう人間くさいところはもう踏み外しちゃってた.人が自ら命を落としてまでなにかしようとしているのはたいてい,途方もなく観念的なものに取り憑かれてしまった時ではないかと思うのです.
どうしようもないこの世界のなかではっきりとそうであってほしいのはリトが愛されてるってことですよね.
ヴェルも,勇者も,フスルトも,みんなリトのことが好き.
3つも重なってることくらいは世界の誠であってほしいです.