兄妹というよりはだらしない姉とけなげな弟に見えるのだけど,このへんはどちらとも取れるようになってる.

瑛「ふ~ん,さすがハル君,お兄さんだね~.大活躍だ.」

穹「……うん,いっつも頑張ってて……」

瑛「けど,穹ちゃんもお姉さんみたいだね.」

穹「……え?」

瑛「なんか,いつもじーっとハル君のこと見守ってる.そこがお姉さんっぽいかなぁ.」

瑛「双子って,そういう感じなのかな?でも,いいよね,そういう関係.」

対等の双子と捉えるよりも,その時々でどちらが年長っぽく見えるかというのが興味の対象で,兄弟姉妹という観点はあえて導入されています.それが最後の「助けて」にも繋がって,よすが,頼りにする,という関係を持ち込む手がかりになってます.

天女目よいなぁ.

かぞえたことなかったのでやってみたら,だいたい250本でした.

PCの,女の子わんさか出てくるようなゲームの本数の話です.だいたいおもしろかったなー,とか,すきだなー,と思ってるやつで,もうこれ以上はやらない感じのものを数えました.クリアしてるかとかコンプしてるかとかは知りません.たぶん3時間くらいしかやってないのも交じっています.1時間くらいやってもうやらなくなったのだけは省きました.

予想からあまり外れてない数でしたね.

メーカー名でソートかけたのでせっかくだからこれも数えてみると,上から Circus 10本,Leaf 10本,F&C 9本,ユニゾンシフト 9本,Littlewitch 7本,アリスソフト 7本,inspire 6本てな感じで,そこそこ息が長くて本数出してる人たちが上に来るというあたり前な結果でした.そしてさようなら,ありがとう Littlewitch….

15年やってると数としては平均化されますね,という話.

時間が経ってから振り返るとだいたいなんかおもしろかったなーとかすきだなーとかに印象が丸まっちゃうので,ベストなんぼとか安定してピックアップできないですよね.その都度,流れで変わります.特定の文脈で振り返って拾い上げるということはできる.

最近やったのがやっぱ優先されます.いま10人の僕が手を挙げたら満場一致で With Ribbon になるよ.

With Ribbon

With Ribbon

僕としてはあまりないことなのですが,たどれそうなところは一通りたどりました.何週目のループかっていうのとそれまでの選択結果で細かく文章が変わるから,ほんとに全部は追えてないだろうけど.

ギャルゲーでは,ある女の子の主人公に対する好感度を教えてくれる人とか恋愛成就の難易度みたいなのを教えてくれる人がたまにいて,日向はるかもそうなんだけど,この人,恋愛の達人だからとか女神さまだからとかじゃなくて,未来人だから知ってる.いや,理屈はあまりよく判らないのだけど,まぁ未来人って未来に誰と結婚するかとか知ってそうな感じするやん.

はるか「かつて人類の大多数が,空を飛ぶことなど不可能と考えていました」

(中略)

翔太郎「俺が沙蘭先輩と結ばれるのは,人類が初めて空を飛ぶこと並に困難な偉業ってことなのか?」

沙蘭先輩とのキスに辿りつくための条件は他の人より飛び抜けて細かいので,このやりとりが可笑しいです.

はるか「ですから,とにかく会う回数を増やすこと」

はい,回数重要ですね.アドバイスありがとう.俺が,俺たちが,いや,日向はるかさんがギャルゲーです.翔太郎といずれかの女の子との間に生まれたはるかさんが未来から現在にやって来ることがゲームのはじまりであり目的であり,そのために3日間のタイムリープを繰り返すことになります.この人がそもそもどうして未来からやってきたのか,未来でご両親の間になにが起こったのか,というのは,はるかさんあまり説明してくれないのですが,離婚とかそういうんじゃないよとは言う.はるかさん可愛いのでどうでもよいところではあったのですが,最後のおまけでぽろりと出てきました.内容は伏せますが,ギャルゲーを成立させる出来事というのは,こういうものであるとほんとよいよなぁ,としみじみ思えるものでした.

姉妹天気図

ヨスガノソラ.同じ学年でありながら,互いの間柄を測るときに兄弟や姉妹という関係を持ち出しがちなお話でした.

僕もそういうの気にするほうです.ラブ.

春日野穹と悠の双子,天女目瑛と渚一葉の異母姉妹,そして極めつけが留年している中里亮平のポジションです.

そう,僕たちは同い年の兄妹……双子だ.

便宜上,僕が兄という扱いになっているが,穹にとっては兄妹なんて関係なく,立場は対等だと言う.

冒頭より,双子の間で長幼の順に関する意識のズレていることが明らかにされて,その後に通底します.

天女目瑛もこの順序を乱しがちで,姉っぽさ,妹っぽさという話題を捌きながら,この人ならではの関係が築かれてゆきます.

悠と亮平が見る瑛と一葉の姉妹の順は次の通りでした.

悠 「なるほどね……なんか見てるとまるで姉妹みたいだよね.渚さんがお姉さんで,天女目が妹.」

亮平「ああ,お嬢のほうが瑛にべったりで,手のかかる可愛い妹の世話を焼いてるっちゃ,そうかもな.」

悠 「うんうん,そんな感じ.」

亮平「でも.実はちょーっと,違うのかもしれない.」

悠 「え,なにそれ?」

亮平「ま,観察してりゃ,そのうちわかるよ.」

姉妹という言葉から始めつつも,固定的なそれだけじゃ掴みきれないものが残るのです.

穹が見た悠,瑛,自分の兄妹の順は次の通り.

穹「…………ああいう妹だったらよかった?」

悠「?」

穹は,僕と天女目のやりとりに何か感じたのかな?

穹「瑛は,優しい……でも,時々怖い.」

悠「で,でも……瑛は明るいし,ちょっと子供っぽいところもあるけど,そんな乱暴な子じゃないよ.」

穹「何考えてるか,わかんない時がある……笑ってるのに.」

(中略)

穹「でも,嫌いじゃない……ハルが好きなんだったら,付き合えばいい.」

穹「瑛が生き別れの妹だったら良かった?」

悠「だとしたら,誕生日が早い瑛は僕のお姉さんになっちゃうよ.」

穹「瑛が姉?」

悠「あ,ちょっと失礼な想像しただろ,穹.」

穹「……瑛の方がお姉さんなのに,年下みたい……」

奈緒「まぁ,どっちかって言うとそんな感じよね.

  じゃあ,穹ちゃんもお姉さんになった気分?」

穹「……わからない……瑛は不思議……年上にも見えるし,子供っぽかったりもする……」

穹「……でも……嫌いじゃない.」

だいたいは妹みたいなんだけど,そこには怖さとか年上っぽさがよく判らない感じで伴っています.

よく判らないけど,でも,嫌いじゃない,って二度も言ってる.

相手のことを言語化して,だけどわからなくて,でも,嫌いじゃない,というこの人の繊細な気持ちの運び方が好きです.

瑛と一葉たち自身にとっての姉妹の順は次の通り.

瑛「あたしにも姉妹が居るんだなって思うと,それだけで凄く嬉しかったから.」

瑛「あたしとカズちゃんって,同じ日に生まれたんだよ.」

瑛「変だよねっ……あたしの方が全然頼りないのに,カズちゃんよりちょびっとだけ早い時間に生まれたの.」

瑛「カズちゃんの方が,お姉さんって感じなのにね?」

一葉「…………何言ってるの……そんなこと……ないよ………」

互いに相手のことをお姉ちゃんと思う.

一葉「私が,おねえちゃんって呼ばれるかもしれないのよね……」

一葉「それにね,姉が妹を守るっていうのが当たり前なら,今度は交代ね.」

一葉「私が姉になるかもしれないんだから.」

一葉のことばの上では,母親が誰であるか判明することそのものよりも,それによって自分と瑛のどちらが姉であるか決定されることのほうが注目されています.それにたぶん,どちらが姉であるかということよりも,姉だ,妹だ,っていう話をふたりでできること自体が彼女らにとっては喜びであるように見えます.というのは,「あたしにも姉妹が居るんだなって思うと,それだけで凄く嬉しかったから.」

そして,亮平と悠と瑛の関係.悠,穹,瑛,一葉は同じ学年でありながら兄妹とか姉妹という年の差を感じさせる言葉を使っています.一方亮平はもともと上の学年であるのが留年によって彼らと同じ学年になっています.

…………留年?

僕が亮平と呼んだ時,一瞬教室がざわめいたのを思い出した.

つまり,亮平は一つ上の先輩で……でも,僕はそんなこと知らずに……

瑛「あー,亮兄ちゃん! 待ってよー.」

亮平は悠にとって呼び捨ての友達になるけど,瑛にとっては亮兄ちゃんであって,同学年のなかにある年の差というのが特に意識される対象になっています.同学年らしさ,つまり同じ学齢の人間が平たく友達になってゆくというよりは,そこに実際の生まれ月や性格の違いによる長幼の揺らぎが含まれていることを彼らはよく感じ取りながら,互いの間柄を測っているように見えます.

兄妹,姉妹といえばギャルゲーの華ですが,血縁関係や血縁のない間柄,あるいは半分の血縁といったその変奏を同じ学年の中に展開しようとしているところに何か執着を感じました.同じ学年で兄妹というと普通双子くらいかと思いますが,名字の違う異母姉妹と留年したお兄ちゃんまでいるというのはどうかしていると思います,おもに僕が.

ヨスガノソラ 通常版

ヨスガノソラ 通常版

天女目瑛がたいへん可愛いです.

まだ瑛の話しか読んでませんが,以上のように感じるところが多かったので.

KissからはじまるMiracle

キスはすげえですね.地道に選択肢を辿ることではなくって.

はるか

 「この日に,パパとファーストキスしたって……

  ママが言ってたの!」

はるか

 「あたしの記憶では,キスしたって聞いてるの!」

って時間遡行者が言うからには,キスが選択肢に対して圧倒的に先行するのです.

他にいろいろ記憶してるならまだしも,これだけっていうのが効いてる.

翔太郎

 「これまでロクに話したこともなかったのに,たった三日間で恋人とか……常識的にも無理があるだろ」

そりゃ,漫画なんかでは『一目惚れ』なんてのもあるけど

例えば沙蘭先輩が一目惚れをして,三日で男性とキスをするなんてことはまずあり得ないだろう?

一目惚れの話は前回したけど,それどころではない展開でした.

というのは,何周まわれるのか試してみたのです.なるべく話が展開しない選択肢を辿ってたら,ずっと同じ三日間の繰り返しになって,そのうちはるかに怒られるんじゃないかなぁとか期待して.いや,はるかには悪いけど.

そしたら5周目で当事者の意志によらず頭ごっつんこするような感じで強制キスでした.で,そのまま幼なじみの人と恋人関係に進むのですが.

繰り返す日常の中で

深まっていくキミとの絆

キスをして,そこから未来が始まる!

(With Ribbon OPより)

いや,絆,深まってないからさ.なるべくこれまで通りに接してたわけだしね.しかし,それでいい.

普通に?話を変化させる方向で選択肢を辿ると,翔太郎に依存しがちだった幼なじみの陽奈さんが周を重ねるごとに自分でいろいろ動くように変わっていって,はるかのママっぽくなってゆくので,もちろんそういう段取りの先に当事者の合意の元でキスをしてもおふたり同じように恋人関係に進みます.

陽奈さんを変えてゆく,話を進めてく,っていう手順を踏んでも踏まなくても,ふたりおんなじように恋人になるっていうのがお気に入りポイントです.

むかしむかし,とらハというゲームがあって,好感度に関わりそうな選択肢への応対が恋人への道と関係しないことに驚いたのを思い出したのです.選択肢をどう辿ろうが話は進むのです.そして陽奈さんと恋人になる場合,話が進んでいるかどうかということすら求められないのでした.

僕にとって楽しいような目眩のする振れ幅が随所にあるのです.