バンドリ第1話 会話篇 from Twitter

3月12日

某にバンドリの話をしてみたら、バンドリの会話はおたえさんが出てきてようやく面白いものとして完成したって言ってたのだけど、第1話の時点ですっごく良くて、だから好きになったんだよ私、と応えた。

第1話はどこをどう取り出しても良いところばかりなので、会話はそうしたなかの一部分なんだけどね。

言葉を運ぶ順が面白いという一人の発話に閉じた面白さもあれば、そこだけ取り出しても面白いというふたりのやりとり、前後の長い流れも含めて面白く感じられるやりとりもある。

今夜はそれを全部挙げてゆきます。多くてごめん、と謝っとく。予め連投断るなんて珍しい? まぁそういう気持ち。

バンドリ第1話 会話篇その1. 「遅いぞ!」香澄さんが朝起きてちょっと経ってから鳴り出した目覚まし時計の音に対する返事でして、TVシリーズ初めての会話がなんとこれ。相手が人ではないこと、目覚ましの音にも負けない返事から、この日の彼女の尋常でない高揚が窺えます。

バンドリ第1話 会話篇その2. 香澄「(ひっひっひぃ……んふぅ)」明日香「(んあぁあーんあー)」書き起こすと変ですが、目覚ましとの会話に続くのは姉妹の言葉にならないじゃれ合いです。人と言葉を交わすだけでない日常会話の諸相から彼女たちの暮らしに触れてゆこうとしてるように思われます。

バンドリ第1話 会話篇その3. 姉「どう?変なとこない?」妹「耳、」姉「え?」妹「違う、髪」さっきの続き。妹は姉の猫耳みたいな髪型を指摘しますが、姉は言葉通りの耳と勘違いします。思ったままを短く口に出してるため相手に一度で意味が通らないというくだけた様子は今後何度も出てきます。

バンドリ第1話 会話篇その4. 姉「これ? にゃぁぁぁぁ(濁った声で)」 で、妹に猫耳が変だと指摘されての答えがこれ。言葉じゃなくて連想の鳴き声で返す可笑しさ。実は今日のために頑張った髪型なので、変と言われて言葉もなかったか。ひょうきんに見えてやや葛藤も感じてしまうやりとりです。

バンドリ第1話 会話篇その5. 妹「んもう、なんでそんなにテンション高いの?」 テンション高いことくらい言わずと伝わってきますが、ここではあえて言葉で確認にかかります。彼女の高揚する様は第1話の大事なところでしょうから丁寧にことは運ばれてますし、ここに妹さんの性格も感じられます。

あと、香澄さんがこれまで毎朝テンション高かったわけじゃないことも妹さんの発言で判りますが、先の話数のテンションを見た後でここへ戻ってくると、そうだったんだっけとも思えますね。香澄さんにとってこの日は特別な日で、もしかするとこれからもずっと特別な日で。

バンドリ第1話 会話篇その6. 香澄「だって、入学式だよ入学式!」 ここで《だって》を頂きました。有難や。だっての後ろにはその人だけの信念の続くことがあります。私がもう入学式の気持ちを失ってるのかも知れませんが、彼女の入学式への期待には彼女独特の向かい方が感じられて良いです。

とまぁ、ここの朝のやりとりまででも、私をぐっと掴んでくるものがあったのですよ。

ずっと昔、美少女ゲームのオフ会帰りの電車で某さんに、人間が作ったものはだいたいどこか面白い、と話したことを覚えています。そんな雑なことはないのかもしれませんが、例えば書かれた言葉にはひとつひとつそういう可能性があるって思える機会が多いような生き方を私はしてゆきたいと思っています。

先に進みましょうかね。

バンドリ第1話 会話篇その7. 母「香澄、食べないで行ったよ」妹「大丈夫でしょう」 浮き足立ってる香澄さんは遅刻でもないのに朝食忘れて出てゆくんですよね。妹さんの大丈夫でしょうは理由を投げっぱなしの面白さ。あのテンションなら何事もないだろって? でもそうはならないのよあっちゃん。

バンドリ第1話 会話篇その8. 香澄「いい匂い……」沙綾「え?」香澄「すごいいい匂いした、パンの、」 学校で隣の女の子の髪がふわっと香ったらシャンプー?と思わせといて最後に倒置でパン。朝食抜いたので嗅覚がそっち向いてます。沙綾さんはパンの匂いばかりする女の子なの?たぶん、違う。

バンドリ第1話 会話篇その9. 沙綾「うちパン屋だから。いる? パンじゃないけど」ここでパンが出てくる流れじゃなくて飴ちゃんにスライドするのも面白いです。朝食抜き、パンの香り、飴ちゃん、友達、というリズムある運びで。

なお、ここでパンが出てくるのがパンでPeace! ですよ。

毎話こんなだったわけじゃなくて、第1話がとくにわたしの元へ言葉と声のひとつひとつやその繋がりとして飛び込んできたのです。

バンドリ第1話 会話篇その10. 沙綾「戸山さん、なんでうちに?」香澄「えっとね、妹がここの中学に通ってて」 少ない言葉で背景を埋めてくなぁ、と聞いてて急かされたところですね。入学式で会った同級の沙綾さんが在校生の顔して《うち》って言ってるのは一貫校のエスカレーター組であるため。

単体で見ると普通の情報圧縮ですけど、会話では総じて言葉を削ってるなか、背景の説明のためにそうしてる箇所はそんなないので記憶に残ります。

バンドリ第1話 会話篇その11. 香澄「あ、制服好き!」沙綾「だーいじ!」 香澄さん転入の理由のひとつ。沙綾さん、いろんな返し方があると思うんですが、短く、大事、って返してるところが好き。説明し難いのですが、普通の返し方ではないけど良い言葉が選ばれてる、と思えるからかなぁ。

バンドリ第1話 会話篇その12. 香澄「あー、楽しみだね」沙綾「何が?」香澄「教室」沙綾「あ※ぁ※」 後でまたもう一度出てくる沙綾さんが聞き返すルーチンですよ。気持ちが先に生まれて、主題は聞き返した後についてくるような倒置の生成。沙綾さんのあぁに重なって抜けるブレス※※が感動的。

1ダース書いたので続きは明日にします。

4月16日

バンドリ第1話 会話篇その13. 沙綾「わたし内部生だから、なんも変わらないって言うか」香澄「でも高校生だよ、何か始まる気しない?」高校生だよ、は後でもう一度でてきます。その6で採り上げた「入学式だよ」と合わせて高校生の始まりの日へ特別な期待がありそうですが、どうしてそんなに?

バンドリ第1話 会話篇その14. 担任「順番に自己紹介しましょうか。みなさんもう高校生ですから、自己PRであることを意識してください。」もう○○ですから、は中学3年とかでも言い換えれる言い回し。節目という程度のもので、それで彼女らは、特に香澄さんは節目の日をどのように扱いたいか。

沙綾さんとしては、これまで通りの毎日が続いてゆく、というのが第1話の基調でした。転校生がやってきたことを除いては。

バンドリ第1話 会話篇その15. 香澄「私がここに来たのは、楽しそうだったからです。」「文化祭に来てみたら、みんな楽しそうで、キラキラしててここしかないって決めました。」中学の時に高校のお祭り(しかも一貫校の)を見に行ったら、キラキラしてて惹かれるというのは判るし多分それだけで。

この高校へキラキラドキドキを探しに来た香澄さんですが、中学時代はキラキラドキドキとはほど遠いどんよりとした彼女だったかといえば、妹さんの様子を見てるとそうとも思えなくってね。高校の始まりの日の彼女の意気込みについて私は想像をふくらませるばかりです。

バンドリ第1話 会話篇その16. 香澄「わたし小さいころ星の鼓動を聞いたことがあって、キラキラドキドキって、そういうのを見つけたいです。キラキラドキドキしたいです。」アバンタイトルを繰り返す台詞。キラキラドキドキが何かといえば、この説明が全てで、まずは小さいころの思い出なのよね。

香澄さんは地元の中学の頃はそれはそれで楽しくやってたのだと思うのですが、ここの学園の文化祭を見た時に小さい頃の思い出が蘇って、キラキラ、ドキドキ、って改めて思って、受験したんだろうなと。受験といえばわざわざ外部受験すると言った妹のあっちゃんだけど、香澄さんもわざわざ受験したのだ。

香澄さんは小さいころからいまに至るまでずっとキラキラドキドキを探してたわけじゃない。ここの高校で探そうと思ったのだよな。そのとき小さいころの星の鼓動は蘇っていっそう大きく響いてきた。この高校を見つけて合格したってことが香澄さんにとってとても大きいからこんなにテンション高いのだな。

バンドリ第1話 会話篇その17. クラスメートA「星の鼓動って?」香澄「えっと星がきらきらーって」クラスメートB「可愛い」この自己紹介であんま変に思われないのが一貫校がときどき見せるノーブルさで、一方、外からやってきた香澄さん本人は変に思われてないかを心配しています。

バンドリ第1話 会話篇その18. 香澄「変なこと言ったかな」沙綾「ん」香澄「自己紹介」沙綾「あ※ぁ※」沙綾さんのあぁに重なって抜けるブレス※※が感動的。その12参照。

バンドリ第1話 会話篇その19. 部員A「お姉ちゃんと来てたね、よかったね、《あっちゃん》」あっちゃん「もう、やめて」部員B「《あっちゃん》はお姉ちゃん専用だからね」香澄さんは妹さんの水泳部を見学に。家族が部活へやってきた妹の恥じらい。この水泳部との関わりが意外に12話まで続く。

バンドリ第1話 会話篇その20. 香澄「あっちゃんと同じにしようかな」母「そんなんでいいの?」楽しそうだと思って入った高校であるが、これが一番楽しいと思える部活が見つからない。妹さんのこと好きよねぇというのもあるけど、そうとでもいうしかないような、どうにも困ってる感じを受けます。

バンドリ第1話 会話篇その21. という前振りから加速してゆく面白い会話が、あっちゃん「あたし、もうすぐ辞めるけど」母・香澄「えっ!」母「なんで」あっちゃん「中3、受験生だよ」香澄「※ぁ※」母「高校行かないの?」あっちゃん「行くからでしょ?」母「って、別のところ?聞いてない!」

一貫校なので、多くの人は中学から高校へ上がっても同じ部活を続けます。水泳部を辞めるときいた母は、衝撃のあまり受験生という言葉を取りこぼして、高校も行かないのかと尋ねるのですが、あっちゃんが再度「行くからでしょ」と念押しすることで、別の高校へ行くことを理解します。取りこぼしの良さ。

あっちゃんとお母さんとではそれぞれ思ってることが違うので、はじめは会話がずれちゃってて、そこから文脈を調整してゆく様子。そこに、香澄さんの声にならぬ声※※が小さく重なってゆく、という生っぽい混乱が組み立てられています。

バンドリ第1話。でやね。あっちゃんが別の高校受験するというのは香澄さんとは別の場所へ行くことではあるんだけど、この春、地元の中学からわざわざここの高校を受験しに来た香澄さんのことを思えば、香澄さんの姿を追いかけてるということでもあるんだよね。

高校1年が節目と思える人もいれば、中学3年が節目と思える人もいるので。で、そういう妹の姿をみて、香澄さんのほうもまた改めて高校1年生であることについて思いを新たにする。

第1話は改めて見ると香澄さんとあっちゃんとの間のことが多いですよね。

バンドリ第1話 会話篇その22. 香澄「星の鼓動きいたよね」あっちゃん「心臓の音でしょう」香澄「そうかもだけど、」ここも凄い。キモと思える星の鼓動が心臓の音ではないかということは、あっさり認められるのです。だからいっそう、星の鼓動というのはそういうことを言っているのではないです。

また、香澄さんの小さいころの星の鼓動の思い出が、あっちゃんとふたりでいたときの思い出であることがここで明らかになります。やっぱあっちゃんだなー!

バンドリ第1話 会話篇その23. 香澄「そうかもだけど、ドキドキキラキラしたでしょ」あっちゃん「お姉ちゃん、もう高校生だよ?」香澄「高校生だよ」 高校生だよ、が再び。ここでは同じ言葉でも姉妹の意味するところが違ってるらしい面白さがあります。後者は、高校生だからだよ、というべきか。

香澄さんがここの高校へ入ったことに賭してるのは、まだあっちゃんには正確に伝わっていなくて、ここから12話をかけてしみじみと沁みてゆきます。

バンドリ第1話 会話篇その24. 香澄「んっふっふっふふ」沙綾「んっ、メロンパン焼きたてです」絵がないと判らない会話。よいですよね。

バンドリ第1話 会話篇その25. 有咲「偽名つかってんなら、止めるよ?」香澄「お泊まり?」有咲「違う、あんたを捕まえるって言ってんの」ここの《止める》は盆栽用語なので、有咲さんが使った意味合いには盆栽を知らないと近づけなくて、作中でもそれはそういうものとして処されます。

ここで《止める》の意味は判らなくてよいのですが、それはそうとして、調べれば、盆栽みたいにちょん切るぞ、くらいの脅しだったと判ります。そうしてみると、凝った言い方をしてしまったのを反省してか、有咲さんが「捕まえる」と言い直してるのはちょっと可笑しいです。

有咲さんが香澄さんを脅してることは、絵を見て声を聞けば判ることではあります。

バンドリ第1話 会話篇その26. オーナー「高校生かい?」有咲「ちーがいーますー」なんでやねん(笑)なめられたくないので高校生じゃないといったのでしょうけど、チケット代を損する結果に。ギャグですが、意外に有咲さんが外の人と普通に話をしているシーンです。

そもそも有咲さんが香澄さんと初対面で普通に話してることがトリックだよなぁ。香澄さんのことは泥棒だと思い込んでいたので、はじめから強く踏み込めている。

バンドリ第1話 会話篇その27. これが最後です。香澄「すごい、すごいね!」有咲「はぁ、なに? 聞こえない」香澄「すごい!」ライブの音が大きくて隣の人の言ってることが判らない。聞こえないということが会話であって、言葉抜きでも香澄さんの顔とか様子を見て有咲さんにはなんとなく伝わる。

普通を描写するうえでの会話について《ちょっと不親切な感じ》《自然な会話って相手の言葉尻を拾ってリアクションすることも》《なので、会話を書いてからさらに言葉を削ったりしています。》メガマガ2017/3バンドリ綾奈ゆにこインタビュー。三話の昼食もそよね。

会話の前提が一瞬食い違っててすぐ直すとか、話の順序が整理されてないとか、文脈は後から追いついてくるとか、正確に説明するよりは他の言葉に差し替えるとか、言葉ではない音や呼吸が伴うとか、そもそも聞こえないとか。そういう会話の諸相が見られるのが個人的には好ましいです。

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