本件について僕の引き出しはあまり多くない.ものを考えようとすると大学でRPGサークルをやってた頃の感覚が甦ってしまうのだけどそれは違うのだ.だからなるべくRPGのことは思い出さないようにしておく.
神室立花は頼りになる娘さんだ.こちらに踏み込んで来てくれるのも嬉しい.神室立花がしっかりした村娘であることと僕が異類の娘さんと懇ろになるという話の繋がりは難しくなくてありのまんまに思えてさ,胸にすっと落ちてきたんだ.そういうところが好き.鶴女房みたいな秘められたところもあるのに魚っぽい男女の契りであるとかついには開けっぴろげでそこに性格がみえるよね.
山村に水がじゃぶじゃぶ出てくるところもいい.沼夫人の染み寄せてくるような水でなく夜叉ヶ池のざぶんとしたやつ.そして水が溢れてくるところに男女を置くとしぜん,心中という話になります.
めまぐるしく移る山村の季節と人の思惑のなかにあって,実感の置き所を迷いながら,母との関係をあれこれ考えたり,異類と共にあったり,不意に感応を得たり,心中めいた行為に人々を救うというスケールを与えたり,それはもう,大変な季節だったんだ.

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手に取った経緯を少し補足しておくと,前作は知らない.ずっと昔,サイキックフォースの開発陣が出していた同人誌で味のあるキャラクターデザインを載せていたのが本作原画のかどつかさで,これが一番のきっかけになっている.脚本の鷹取兵馬は雪色のカルテでシステム越しに死と対面する感じが好きだった.
(4/12追記)
六車月乃の入ったスチルは,あなた一体どこの可愛らしいお嬢さまですか?というような素敵な笑顔をしているので,添えられた文章で描かれるような人に交じらないイメージとは齟齬があるのだけど,そのうちこの人たしかに油断してるとこんな顔して写真うつってそうだなぁという気になってくるのが可笑しいです.