いったい物事を好きであり続けることは難しいのだけど,完全に失ってしまったものというのはあまりないはずだ.絵も文章もプログラミングもTRPGもゲームも音楽もアニメも映画も・・・好きになったり距離を置いたり,またふとしたことで熱心に出来るようになったりの繰り返しで,あとなんどもそういうことがあるのだろう.
ここしばらくのところ,好きなギャルゲーはなに,って聞かれていまいち答えられそうにないと思えたからギャルゲーにはあまり熱心でなかったのだけど,たまたま満たされるようなゲームに巡り会ったのをきっかけに,ああ,あんないいのもあった,こんなのもあったといろいろ思い出されて,なんだ,ぼくはギャルゲーからこんなに幸せもらってたんやん,と思った.
記憶というのは色を差すもので,綺麗な一滴でたちまちによみがえる.
いくらかポイントだけ振り返ってみます.
普通のことだとは思うのですが18禁作品については見てみたい欲望と嫌悪感とが同時にあって,1995年ごろのMacユーザだった僕が遊べたのはそうしためんどくさい気持ちを増幅させるようなCD-ROMゲームばかりでした.だけど最後にLibido7ていうかわいくも可笑しいゲームに出会ってね,18禁作品ってこんなに笑ってもいいんだ,って知った.気持ち悪いものばかりじゃないんだ,って思えたのは本当に良かった.
1996年にはDOS/Vで同級生2を,先輩からのお下がりのPC-286で雫などをやった.同級生2の場合,痛がる篠原いずみに対して主人公が途中で挿入を止めてもう終わったと嘘をつくところが響いた.途中で止めてそのままエンディングを迎える,というのは当時も今も珍しいと思うのだけど,たまたまこの時期に出会えたのは良かった.18禁作品の気持ち悪さについてまだ暗く抱えていた頃で.それで雫のほうは男女が繋がることへの気持ち悪さを顕わにしつつ気持ち良くなる話で,僕としては接しやすかったのだと思います.雫について2003年に振り返ったときの感想はこうで,やはり今とは少し違うけれど,
彼女らを凌辱せざるを得ない状況と,にもかかわらず欲情してしまうことに対してゲームとして割り切ることのできない罪悪感を素朴に感じていた頃の話である.
1997年のToHeartとか1998年のONEはなんか普通に面白いストーリー漫画で,そういうのに出てきそうな女の子のあられもない姿を見ることができる,ともかくそう思わせる絵が良かったわけです.絵の魅力としてはここから入っていったので,例えばみつみさんの絵柄とは当分無縁でした.1999年から2002年にかけて熱中していたとらいあんぐるハート(1,2,3)も同じようなことだったと思います.
days innocent,かえで通りは2000年ごろから世紀を超えて10年くらいかけて読んでいて,最近読み終えたもの.この人たちに対する気持ちは10年間変わっていない.心遣いすることと肌を重ね合わせることの僕にとっての善なる例です.
Kanon,AIR,Sense Off,未スをについては,僕の視界に入ってくる感想が納得のゆかぬものばかりで,いらいらと文章を刻み続けていました.そうした影響で,このころ(1999年から2001年)俯瞰的あるいは構成的な読み方をすることがだいぶ嫌いになりました.そのかわり自分が読んだ順序のままに受け止めてゆく読み方を意識的に選ぶことが多くなりました.
いろいろとっちらかっていたものだから,溢れんばかりのゲームの海から僕だけの宝物を探すことができるようになったのは2005年くらいからじゃないのかな.一年に20本くらいやってると思うけど,全部がぜんぶ隅々まできっちり読むということはしてない.読んだところだけが僕の感想で,それにしても良いなと思える箇所がどこにも1つくらいあります.女の子と男の子が幸せそうに生きているのが一番で,人間はそうしたときになにか面白い会話や独り言をしてしまうようなのです.
あとは自分の心に刺さってるものを5本ばかり挙げてまとめにしたいと思います.
・「フラワーズ」(アアル)
肌を重ねることの肯定.ToHeartやとらハあたりから辿り着くことのできるまっとうなポルノグラフィー.

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・「ワンコとリリー」(CUFFS),「さくらむすび」(CUFFS)
未だ言葉にするのが難しい辛さ.僕がこれまでの人生で削ぎ落としてきた人間関係が詰まっているからかな.

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・「D.C.II」(CIRCUS)
シリーズを通してたけうちこうたの確かなライティングに支えられた佳作でした.僕がとりたてて言うのは雪村杏の話に自分史との重なりを感じるため.

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・「Flyable Heart」(UNISONSHIFT Blossom)
自分が読んだ順序のまま受け止めてゆくところにワンダーがあります.

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・「らぶでれーしょん!」(SMEE)
この文章を書いたきっかけ.女の子と男の子が出会っていっしょに暮らしてゆくなかに善性があって,それがふたりの会話に滲み出ているように思われます.

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