みんなでゲームしてたころ.

今ではもっぱらギャルゲ-とか孤独に楽しんでるけど,学生時代は空気のようにみんなギャルゲ-のことを喋ってたもので,そういう頃の思い出はまた別にあります.

1996年,雫と痕が大学サークル内で人気でしたけど,先輩方はそれほどでもなくって僕以下の世代だったよね.若い人ほど入り込んでいて,それぞれキャラクターを割り当てて一日,合宿みたいにしてその娘さんになりきる,という修行めいたことしてた人たちもいた.その話を聞いたとき,痕っていうのは僕らのものでなく僕より2歳ほど下の人のためのものだったのだと思った.

先輩たちは雫の主人公,長瀬ちゃんの薄暗いところが好きで,後輩たちはもっぱら女の子のほうが好きだったみたい.僕は,といえばどうだったかな.いま振り返ってどう思うかは前に書いたけど,当時の思いとしては別で.

そういえば1998年に書いたレビューを発掘したのです.冬コミ向け「エロゲ-批評」というゲーム批評(マイクロマガジン)のパロディ本に寄稿したもの.

リーフ

ねらわれた学園など古き良き学園SFを思い出させる超能力学園もの。昔はヤングアダルト向けの本にエロがあったものだし、これもそう。三人の少女がシナリオの中心であり、途中でそれぞれをヒロインにしたシナリオに分岐する。一本はいまどきの明るくエッチな感じのシナリオ、もう一本はサスペンス調、残る一本が神秘的な少女、瑠璃子を題にしたSFである。瑠璃子に向けられた眼差しは、谷崎が母へ向けた慕情か、はたまた鏡花の女性へ向けた憧憬か、とは言い過ぎと思われるかも知れないが、このシナリオをしてそこまでの印象を与えさせるのは、小説ではありえない音楽によるものである。テキストと絵と音楽が上手くかみ合っているからこそ、このシナリオは美しい。その点、Win版のCD-DAの音楽は途中で途切れてしまうため興を削ぐ。このゲームは98版でプレイしなければならない。

後半,谷崎とか鏡花が出てくるのは当時まだ読む力が弱くて,ギャルについて語る言葉をほかに知らなかったのだと思います.そんな無理に書かんでも……的なレビューですね.

雫も痕も女の子が3人とか4人で,僕はこの子,みたいな棲み分けが友達連中のなかでありました.そのなかでどうして瑠璃子さんのことが好きだったのかということを書くべきだったと思います.

リーフ

伝奇もの。民族学的な話を匂わせつつ実はSFであるが、これまでゲームでは扱われることのなかったネタなので個人的には気に入っている。マルチシナリオのゲーム設計としてはLVNの中では最も完成度が高いと思うが、キャラクターを中心に見るならばエロとシナリオとのバランスが悪くて駄目。千鶴以外は主人公とエロる必然性がないだろう。ところが、エロゲーとしても悪くない内容なので、なんとも評価のし難いゲームである。楓ちゃんは可愛い。

あと,レビューごとにいちいちエロとかエッチに触れてるのだけど,当時,エロゲ-ではエロについて語らなくてはならないという先輩方の圧力を受けて,故にそのほうが玄人っぽくて格好いいと思ってたからでしょう.実際のところ,ONEを読み進めるときにはいかにエッチシーンを避けて選択肢を選ぶかに腐心していて,メーリングリスト上で呆れられていたものでした.

To Heart

リーフ

学園ものの恋愛エロゲー。同級生以来の落としてエロる恋愛ゲームである。エロとシナリオのバランスは、この恋愛エロゲーの枠にはめることで収まりが良くなったようには感じられるが、リーフがエロとシナリオの融合を放棄したことは残念である。シナリオの半分を担当した高橋氏のテキストは相変わらず冴えており、少女たちの内、誰か一人に萌えることはできるだろう。PS版でこの比較的ディープなエロがなくなってしまうのは全くもって残念であるが、シナリオが全然違うのならばそれはそれで良いかも知れない。

うそつけ.当時の僕はそこまで意識的にエロが好きではなかったと思います.

To Heartの後,これTo Heartよりも面白いよ,と友人に勧められたのがONEでした.友人との会話のなかでゲームを勧められるとか,どうにも懐かしいですね.

ONE ~輝く季節へ~

タクティクス

古き良き学園SF的な設定を背景にした恋愛物語。主人公は自分がこの世から消え、「永遠の世界」へ旅立ってしまう予感を感じながら日常を過ごしている。主人公がこの世から消えなくてはならないという非現実に対して賛否両論を聞くが、この手の設定の常として、読み手がそこに意味を見いださねば非現実は非現実のままである。しかし、全てのシナリオにおいてこの設定が活かされているとは言えず、そこに十分な意味を持たせるだけの物語を感じるには、少々躁鬱的な感性が必要だと思われる。それのない人には、BGMの変化と共にテレビのチャンネルを切り替えるように世界を行き来する主人公の視点やそのやるせない科白から、この辺りのことを読みとってほしい。

ビジュアルノベルに欠かせない音楽もトップレベルであり、シナリオ成功の一因。あと、ちょっとした仕掛けのあることもあって、登場する女の子に感情移入しやすい点が良い。食べ物のことや子供のお守りなど、全体的に女性的な感じの漂うシナリオである。

ほとんどどうでもよいレビューだわな.なにか説明付けたいという欲望だけを感じます.ただ,「食べ物のことや子供のお守りなど、全体的に女性的な感じの漂うシナリオである。」という最後の一文は今でも採ることができます.ああいうのはめずらしかった.

当時,里村が好きでした.ONE以降はWeb日記で山ほど書いてたので(もう無いけど)ここでは内容について振り返らないです.ただ,僕が里村の好物であるワッフルを求めていろんなお店を巡ったことによって街の見え方が変わってくるなど,生活とゲームとが響き合うということはこの頃から意識され始めました.

With You ~みつめていたい~

カウテル・ソフト

ヒロインの片方である菜織シナリオは、心情の描写でもヤマシサでも高水準であると思うが、立ちグラフィックのつまらなさと、音楽の弱さで大減点である。シナリオがメインの恋愛ゲームではこの二つは欠かせないものだと思うのであるが。

そうだっけなぁ.菜織の立ち絵といえばあのホウキのことを指してるのだと思います.ああゆう動作途中のような,特定の文脈を伴った絵が何度も利用されるのを嫌ったのだろうけど,むしろ彼女らのギャルゲーであるということの隠しがたい身体を感じさせて良いんじゃないかな.最近知ったのだと「らぶでれーしょん!」の女の子たちもそうした意味で素晴らしい振る舞いを見せてくれます.SMEEは立ち絵の裸パッチが恒例ということもあり,立ち絵がかき立てる気持ちに対する彼らの鋭敏さを感じさせます.(なお,裸パッチというのは当てる前のドキドキ感と,当てた結果,残念な気持ちになることを知るためにあると思います.やっぱ服を着てるほうがよい.)

With Youも何かと友達連中の間で話題に上ったけど,そうやって話していたときの気持ち,語られていた内容でなく,気持ちがね,上のレビューに伴ってないのはつまんないよね.僕らいつもゲームで会話をしてきて,そこにはいろんなことがあったのよ.

友人宅に泊まってファーストKiss☆物語をやってたときのこと.相手は僕がプレイしてるのずっと見てなくて,だけど一言,「さっきから妹の声しか聞こえてこない」と言われたこと.他の娘さんの声はわたしスキップしてたのね.そういうことがほかでも二度三度あったけど,なんのゲームだったか忘れてしまった.

夢のつばさ,はふたりでやったなぁ.お互いはじめてのゲームをふたりでやるというのは楽しいものでした.選択肢にくると,ふたりであれこれ話すの.それはひとりでやるときの選択肢とは違うものでね.

シスプリのPS版は誕生日プレゼントでもらったんだよ.嬉しかった.

僕の学生時代というのはそういう記憶に代表されるものでした.