Which Dreamed It ~ Wonderful every day

僕は自分より大きい人の背丈があんまり分かんないです.10センチくらい高い人までは自分と同じくらいに思う.向かい合ってるときは特に判らないです.

身長を数字で聞いたり写真撮るみたいに横に並ばないと判んない.それは測定.彼らの背が高いことは本人から聞いて情報としては理解してるんだけど,面と向かって話してるとそういうのはない.

自分より低い人だと高い人ほどのずれはない,といっても僕より数字の上では20センチ背が低いはずの姉は僕にとって5センチほど低いくらいの感じでしかない.

面と向かうことは測定じゃなくて,向かい合った目と目がなんかそういう調整をしてるのだと思う.

「ガキには,大人は大人にしか見えないんだよ……」

「ガキの時はさ……由岐姉は大きな存在だったから……」

「大きい」じゃなくて「大きな存在」です.小さい頃の僕は大人を見て身体の大きい人だなぁ,と思った記憶がない.運動をしなかったせいかもしれないけれど,大人とはけして大きい人ではなく,大人はそのまんま大人であるようにしか思えない.

おっきかった由岐姉に背丈が追いつくお話,ではない.あるいは由岐姉の背中に追いつく話,とかつい考えなしに言いそうになったけど,由岐姉はいつもこっちを見てくれていたから背中なんて知らないよね.

背丈でも背中でもない存在の大きさは対面することによって記憶される.ならば,目と目じゃなくて手と手が触れあったときこそが意外.

「あの頃と全然違う……ほら……」

由岐姉は俺の腕を掴む.

「あんなに細かった腕もさぁ……私より全然太いじゃん……」

「ああ……あの時は由岐姉の手がこんなに小さいって知らなかったよ……」

「でも……それでも俺の胸囲より小さいだろ……身体だって俺より全然小さい……」

触って測定してようやく身体の太さや大きさの違いに気付くのだ.

だからどうということもなく.それらはただ7年という数字を言い換えただけであって.最後に対面することが叶うのならば,由岐姉は由岐姉であるようにしか見えない.

この作品についてなにか言おうとすると僕が(僕らが)この十年以上考えてきたことを繰り返すだけになりそうになるよ.

だからなるべく新しいことを言います.言おうとします.

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