白峯(石川淳「新釈雨月物語」より)

想念バトルを終えることのできる両者の老練,あるいは老獪さ.ドラマチックな全訳注*1と比べて,注釈なしで一気に読むとまた違う印象だね.

崇徳院と西行との会話は電波交じりでかみあわないのだけど,そのずれたところから魔王がはみ出してきて,今度は魔王のほうが言葉の上でのずれを取り込んでしまって,西行無言のうちに,怪異であるところの魔王は夜明け前,かみあわない言葉どもを引き連れたまま霧散する.この魔王も電柱と戦う虎であるが,その様を西行に見せてしまえるあたりは年の功で.

ついとらドラと結び付けてしまうが,ヤング崇徳院とヤング西行が,むかつくんじゃーっ,と叫びつつ白峯に立つ電柱と戦う話でもいいと思った.おそらくは対世界妄想幻魔大戦的発想として(ミルナさん,有り難うございました).

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