Water in the AIR

予習,いや復習だろうか.AIRには一度きりしか触れてないので,もう一度最後まで.
(PC用全年齢版)

〜7/18, 晴子さんが帰って来るまでのこと.

・冒頭,”どこまでも,どこまでも高みへ.” 翼は高みを目指していた,だけど,夢から醒めた往人は地上に居る.麻枝准の描く高みや深みは,翼で飛んでゆく場所や,郁未が向かったような延々と階段で降りてゆく場所,あるいは舞たちが昼食を食べたあの階段の高みのように,手足を使って移動可能な場所である.しかし舞たちが教室から遠くあったように,古河たちが中庭から校舎を見上げたように,そこは地続きの,あるいはここから続く空であるにも関わらず,その時その人にとっては届かない場所をあらわにするもので,たとえ鳥に姿を変えたとしても届かない場所で,それは空想的であったり観念的であったりするよりは「どれだけ手を伸ばしても届かない」(http://homepage1.nifty.com/fluorit/ana7.html)というまさに地に足のついた言い方で足りるような,身体的な,そんな素朴な感傷を伴っている.特に素朴さについて言えば,それは例えば主の祈りにおける天と地のような対比よりも,人間の記憶と烏の頭によって語られる.

・OP.”「力」を持つ者に課せられた,はるか遠い約束.” 普通,課せられた,に続くのは約束でなく運命である.ここで,約束,というカジュアルな言葉が選ばれたことによって,特別の宿縁的な話というよりは,いつでもどこにでもあるような話として彼らのことが感じられる.

・ちなみにSUMMER編では神奈の母が再三「運命」を口にするが,柳也と神奈は「約束」を結ぶ.またDREAM編,AIR編に運命という言葉は登場しない.その代わり人と人の間に約束が結ばれる.観鈴と晴子との約束,みちると往人,美凪との約束,そしてそのほかたくさんのつまらない約束たち.運命だなんて呼ぶことの出来ない小さな人の約束にこそ,彼らは規定される.

・”…目覚めはまぶしい.そして,魚臭かった.” 魚の臭いがする時点で麻枝准判定が出る.

・友達のいない観鈴が往人と友達になろうとする.こんなとき,こちらから声を掛けるよりも向こうから声を掛けてくれることを期待するもので,だから観鈴は往人の興味を引こうとして「うんっ…」「はっ…」とか言いながら往人の隣で伸びをするわけである.しかし往人はすぐに興味を失ってしまい,失敗.次はニコッと笑ってみる.再び無視される.失敗.諦めてようやく声.「こんにちはっ」「でっかいおむすびですね」「飲み物なくて,大丈夫ですかっ」と言いつつ,自分から尋ねておきながら往人の返事も聞かずにジュースを買いに行く.全く間が持たない.

往人の観鈴への第一声は「苦労したな」.たしかに,色々と苦労をした.

・往人語録.走るときに出す声は「ダッシュッ」.木を駆け登るときに出す声はもちろん「とうっ」である.観鈴との掛け合いもいちいち可笑しい.あとは回る扇風機に口をあてて「ア〜…ワレワレハ,トオイホシカラヤッテキタ…」であるとか,こういう馬鹿馬鹿しさを映像ではいっそう期待したい.

・二人が打ち解けるまで.「食べたいものあったら,なんでも言ってください」「ラーメンセット」「にはは,うちラーメン屋じゃないよ」「ラーメンとご飯」「うん,それならできる」です・ます調だった観鈴の口調は,飯の話をする頃にはくだけてきている.

・くだけるどころか神尾家に着いてからは観鈴に叱られっぱなしである.電話,冷蔵庫,電話,電話,ああ,4回も.昔,ご飯の支度をしている母親の周りをちょろちょろしてるとこんな風に叱られたものだ.

・往人がうつらうつらしている間,観鈴は独りで遊んでいる.独りでテレビ,独りでトランプ.観鈴がどんなトランプ遊びをしているかは明らかでないが,これはソリティアなんていう独り遊び用のものではなく,おそらく七ならべであろう.小さい頃,ポーカーだろうがセブンブリッジだろうが独りで楽しんでた僕が言うのだから間違いない.

・あ,おかあさん帰ってきたみたい.

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