SHUFFLE! 楓

稟が楓を許す,というのは恨まれてた時のことというよりはもっと広い範囲だね.楓は「私のことは絶対に好きにならないで下さい」という立ち位置を見せる一方で,稟の言葉は聞き入れず一方的に身を尽くそうとすることで稟をバインドしてたように見える.あるいはね,かつては楓が稟を恨み,稟がそれに甘んじ続けるという形でふたりは固まってしまっていた.楓は,これ,という形に相手をはめ込みがちな人なのね.稟がはめ込まれやすい人だとも言える.頑なな楓と形に縛られがちな稟とで,がちがちのくだくだな,あちゃー,な関係が続いてるのだわ.抱かれて,抱いても今さらあんま変わらない.ここで稟が楓を許すというのは楓の頑なさを許すということで,彼らは実はずっとそうした形にあって,彼らは彼らなりのままで,言葉のあやのようなところから,ふたり,人前で口づけできちゃうくらいには変わってくところもある,という話だと思うわ.

楓が丁寧語であることは,この人の徹底の顕れだと思うわ.恨んでいた間はもちろん,その前もきっとそんな話し方はしなかったんじゃないか,幼なじみには.この変化って聞いてるほうは辛いと思うのだけど,稟としては楓のそうした形式的なところも受け止められるということ.

これだけ長く家族同然で一緒に居たのに下着姿ひとつ見せたことなかったのですか貴方は,というあたりにも強い規範を感じて参った*1

楓はわがままであるとも言える.思ってた以上にカエちゃんわがまま娘で僕はむしろ安心したわけです.

*1:アニメのほうでは逆にバスタオル姿を稟に晒しても平気というあたりでふたりの関係を家族寄りに描いている,というのが最後まで響いてくる複線.

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