D.C.II

ラスト,美夏編.一分の隙もない.たけうちさんの話はライン取りが確かであるので,アニメのほうの弁護が余計難しくなるなぁ.

んじゃ,アニメのほうのD.C.IIの弁護,というよりはなんでああなっちゃってるかという筋道の話から.アニメのほう見てて,あの時代にロボットが厭われてる状況が歴史的な経緯というだけではぴんとこなかったのだけど,ゲームのほうでは歴史も説明するけどむしろそれとは別の同時代的な感覚として伝わるよう仕組まれてる.あの時代のロボットは世間でセクサロイド扱いされてるのね.その一言加えるだけで見通しが良くなるんだけど,アニメでは外したので難しくなった.歴史上,ロボットが排斥されてきた経緯に深く関係するのが委員長.一方,その他の連中はロボットを私的なセクサロイドとして見てるから,学校ていうみんなの昼間の世界からは異分子としてはじき出そうとする.その二つの立場がたまたま交差するのが,委員長の弟が交通事故に巻き込まれてそれを美夏が助けるっていう事件であるのよね.ここで後者の視点が抜けちゃった場合,みんなを委員長と同じような立場にするという方向もあるかな?と思うのだけど,アニメでは委員長の性格変えたけど個人プレイの傾向を残しちゃったのでまとまらなかった.

ゲームのほうの愛すべき委員長を変えたところは惜しまれる.僕自身は一方的に怒るとか嫌悪するとかで取り付く島もない時間の長い人であるが,この人にはもっと対話がある.それを僕みたいな奴にするなよなぁ.委員長の魅力はずっと付き合ってないと判らないのにアニメでは登場できる時間が短すぎて,手早く目に見える対立関係を置いたのかもしれないけど.

ゲームの話であるが,なぜ天枷博士,沢井博士らがロボットに性行為できる機能を付けたか,というのは初代D.C.から続く話題として押さえられてるところが良かった.もちろん美春も出てきます.その話,桑原文彦が別のサーカスのゲームで少し盛り込んでたので,今回はたけうち流の解釈だね.

話を戻して,アニメではモブの扱いが難しいとは思った.学園中の生徒がボイコットするとき,たけうちさんはモブの動きを伝聞として書くか,屋上から遠くのほうで見えているものとして書くのね.もちろん絵はない.大筋は学園無双な話,つまり一部の問題児たちが自分たちの世界で楽しくやってる話なので,モブが主体的に抗議してるアニメの絵にはずれを感じた.ただしこれは,ゲーム版の彼らを知ってるが故の違和感で,小恋と義之のふたりの関係を真ん中にもってきたアニメではそもそも学園無双な要素が縮小されている.

あのリベラルな学園においてボイコットに至るほど教師側と生徒側が対立する,というのも信じられなかった.しかしこの感覚もそもそもアニメではなくゲームにしかないものではある.と思ってたらゲームのほうでもボイコットが起こったので驚いたが,ボイコットに至るという気持ちの流れは判った.美夏の退学だけでなく,あの自由気ままを体現するようなさくらさんまでもが解任処分を受けたためである.処分を決めた理事側の立場を杉並が示してくれるのも行き届いている点だ.彼らもロボットを所有しており,排斥主義者ではないのだけど今回は日和見した,とこれも一言付け足してくれるだけでライン取りが確かになるのである.

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