シスタープリンセス・リピュア#7-a 続拾遺

子供は自分に熱があるとか病気であるとかを自己申告しないと思われる.しんどい,とか言うことによって母親に気持ちを伝えるのがせいぜいで,その後,母親がこれは風邪だと告げることによってようやく病気であることが確定する.自分の小さい頃のことを思い出しているだけなので,これは単に僕の言語化能力の問題かもしれない.今でさえ自分が病気なのかどうかとかよく判らない.仮病のプロセスにしてもわが身を振り返ると自分で「熱があるみたいやねん」と言った記憶はない.「しんどいねん・・・」としんどそうな顔をして母親に言いに行って,そこで僕が病気であるかどうかの判定を仰いでいたように思う.

さて,「亞里亞,お病気なの.にいやに会いたい」と自己申告する亞里亞のそれは,いわゆる仮病にはなっていない.亞里亞の考える病気とは高々ベッドで少し横になることであって,そこには僕らが普通に考えるような病気らしいフリを認めることは出来ない.彼女は平気で兄や姉たちの周りをちょろちょろとしている.このエピソードでは子供のつく嘘は拙くて失敗するということよりむしろ,言葉の意味などあまり理解していなくとも嘘をつくことは可能である点に注目されている.嘘らしさを伴わない彼女の行動は,嘘というよりは「魔法の言葉」を唱えたと称するほうがふさわしい.そしてここで「魔法の言葉」だなんて思いつく兄はロマンチストである.それは胸にしまいつつ,亞里亞には,謝ろうね,と言うのもまた優しい兄である.

亞里亞の仮病を「病気です」と言い張るところからじいやさんの過保護な様子をうかがえるのも良い.亞里亞が本人にそれと判るような病気でないことは熱や顔色をみれば明らかだろうから,亞里亞の自己申告を万が一と考えてのことであろう.

芝居的な見どころとしては春歌のおかゆのシーンを挙げておきたい.おかゆを載せたお盆を運ぶ春歌に対して亞里亞が鬼ごっこのタッチをするのであるが,春歌はお料理を手に持っているがゆえに何も反応できなくておろおろしてしまう.不意打ちということもあるが,普段,華麗な身のこなしであるところの彼女が亞里亞にちょこんと触れられただけで慌ててしまうのが可愛らしい.

毎日緊張が続いていて,家に帰ってもそれが続いていて,不安で,しばらく何も文章にすることが出来ない状態だった.こんなとき落描きみたいなものでも絵が描けたというのは本当に助かる.四葉に感謝を.あと電話は頼りだすと際限がなくなってしまうので最後の手段にとってあります.これでも,なんとかやっていけそうです.


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病気であると主張する立場が逆転してしまうわけについては,あんよさんによる説明がスマート.

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