みんな私のお姉ちゃん?

姉、妹話は良いですねぇ。とくにどちらが姉でどちらが妹なのか不定であると気づかれる時のそれ。

ハナヤマタよさこいLIVE!のハナさんサブシナリオ「みんな私のお姉ちゃん」はタイトルでおよその流れは予想できて、真智さんが姉持ち、ヤヤさんが弟持ち、なるさんは多美さんと姉妹のようなものなので、そういう話題になったとき一人っ子のハナさんが思うことには、姉がほしい、と。

それで皆さん、ハナさんのことは妹みたいなものかなぁ、というコメントが出てくるのですが、元々姉妹関係?にあるなるさんと多美さんの間でなるさんが自分とハナさんのどっちが上の妹?とか言い出すので揺らぎが出てきます。

ハナ「どちらかと言えば、私の方がなるのお姉ちゃんぽいと思います」

なる「……え~?そ、それは……それだけはちょっと、譲れないかも」

譲れない、ってなんなの(笑)

(それからしばらく、私となるのどちらがお姉ちゃんぽいかについて白熱の議論となったのデスが……)

(ヤヤさん、タミさん、マチさんの総意で「私となるは双子」という設定になってしまいました。)

より大きな構造へ取り込まれてしまいました。ヤヤさん、タミさん、マチさんから見るとどちらも同じように妹みたいである。五人でいるときとふたりでいるとき、あと三人のときも、四人のときでもたぶん、関係というのは変わるので。

いつも同じようにゆかないのは不便なこともあるけど、何人のときか、みたいにより固有の状態でだけ出てくるような関係を愛しく思っています。

2014年ゲーム

触れておきたいものだけ。

文化祭当日へ向けて5人×10日間、誰の何日目かを選んで話を進めてゆく。例えばなるさんが経験したある日の出来事はハナさんを選ぶと別な風に経験されていることが判る。助平ね。

あのとき自分以外のみんなが何を考えていたのか、答え合わせは10年後の同窓会でやるもので、僕はひょっとしたらそういうものを見ているのかもしれないけれど。

ハナヤマタの彼女らがそれぞれに抱える心の声の様子をそのままゲームにすると、各人物に伴う内言カッコ書きを集めてあの日あの時あの場所で5人それぞれの気持ちを追いかけてゆくというナイーブなものになるんじゃないかな。

みんなでヤヤさんのお見舞いにゆくという、ただそれだけの話だと思います。それが好みです。

はつゆきさくら 初回限定版

はつゆきさくら 初回限定版

東雲希さんの男(?)口調を貫き通す強度が良かったです。

ハルカナソラ 通常版

ハルカナソラ 通常版

http://d.hatena.ne.jp/tsutsu-ji/20141101

パラ恋愛表現としての選択肢という観点では、分岐を示唆してみせたアニメ版ヨスガノソラはたかだか分岐に影響する選択肢しか取り扱えていないということになります。

夏空のペルセウス シンプル版

夏空のペルセウス シンプル版

怪奇的に思えるところがあって、好きです。夏だしね。

ではでは。良いお年を。

ハルカナソラ

ハルカナソラ 通常版

ハルカナソラ 通常版

■ 蒼穹の果てに

本編に引き続きごはんの話。本編でハルと穹のふたりがまともにごはんを作れなかったのはこの話の為だったのか、と思えますね。

あと、ハルが梢さんを選ぶ可能性について、梢さんが考えたこと。

【委員長】「想いの強さで決まるのか、一緒にいる時間で決まるのか、見た目で決まるのか………それとも偶然か……」

それらはどれだってあり得る。それがいつ決まったのか、と言い換えてもいい。選択は無限に後退することができる。

“蒼穹の果てに” は選択肢のでてこない話だけど、ショートシナリオ集の中から “堅物な委員長だって恋をするのです” を僕が選んでいたら、ハルは梢さんを選んでいたのである。もっと戻るなら、僕がハルカナソラを店頭で手にした時から彼女らは選ばれていた。

梢さんの言葉を押し広げてゆくと、恋愛というのは選択の存在に想いを馳せることだと言えよう。想いの強さで決まるのか、一緒にいる時間で決まるのか、見た目で決まるのか、それとも偶然か。恋愛に遍く存在する選択のなかで、ときどきゲームのメニューとして選択肢が描かれることは、小説における挿絵のようなもので、挿絵というものが小説と交わらず小説と平行して、ただし小説と同時にあるように、選択肢は恋愛の選択と交わらず、恋愛と平行して、必ずしも決定的ではなく、ただ恋愛と同時にあるようなものではないか。

選択肢は選び直すことができるどころかいつ選んだかすら判らないなかで、だけど選択肢というのは小説で挿絵が望まれる場合のように恋愛ゲームに添えられていると言えるのではないだろうか。

恋愛が選択によって綴られていることに想いを馳せるならば、パラ恋愛表現としての選択肢は恋愛ゲームに彩りを添える存在であって、必ずしも決定に貢献せずともよい。

タンス・タンス・タンス

With Ribbon と比べて別の人が書いたとは思えない、というくらいに前作のいいところは全部感じられる。超自然的なことの理解のされ方と、筋の通し方と、なにかとぶっちゃけでずっと助けてくれる異性の親族がいること。

有り難いです。

美也「すこしだけ、ちょっとだけ、悪い子になりませんか」

トキヤ「……それは、どういう」

まさか、このまま図書館潜伏とか……

クローディアの秘密? ちょうど児童書の棚での話で、さもなくばそうそう出てくる発想じゃないと思うのですが。

ちょっとした参照かと思いましたが、後でじっさい夜を明かしていました。

結莉夏「うんうん。たぶんソレですけど、美也ちゃんったら昔、異世界に通じる扉を探して……」

美也「あ、わ、えっと、結莉夏ちゃんっ」

結莉夏「友達の家という家、タンスというタンスを大捜索したんですよ?」

なにそれ可愛い。それはそうと、直接にはナルニアくらい? あんまり参照があるわけでないのですが、おふたりさん本好きなのね、と充分判って、過剰でない程度のそれ。

小さいころ、家のタンスをとくに意味もなく開けたり閉めたりして遊びました。ナルニア読んだのなんてずいぶん大人なってからなんで知らないのだけど、タンスはただタンスであるだけで面白いからなぁ。

そもそもタンスがああいうふうに大きくて、扉が子供の力で開けるには重くて、中が鬱蒼としていて、子供のからだひとつやふたつはもぐり込めて、そんな風にタンスがタンスのように面白いから、タンスはナルニアに通じるのだろうと思うね。

日本だとタンスがザンスに通じててもおかしくない。これは、ダジャレですが、タンスという存在がタンスという名前でよかったと思われることです。

2013年 さよなら、さよなら

ことしもなんやかやでいろいろやってますかね。いつのことだか思い出してみました。

恋色マリアージュ

恋色マリアージュ

http://d.hatena.ne.jp/tsutsu-ji/20130106/1357493514

あとこちらも。ひとつひとつ感情をたぐってゆくことで、たとえば悲劇とか、ままならないこととは、遠いところにあるような筆致が好みです。

D.C.III R ~ダ・カーポIIIアール~X-rated

D.C.III R ~ダ・カーポIIIアール~X-rated

大人びてるなー、なんかもう30代くらいの、素敵な女性だわ、と思ってた学園の先輩がじつは数百歳の人だと判ったとき、深い納得がありました。見た目が青年で実際は数百歳というのが、内には老けているのでも若すぎるのでもなく、ふつうに年長者の頼りがいを感じられるというのが良かった。

Berry's 初回版

Berry’s 初回版

Sphereのひとたちが描く年長年少感覚の素晴らしさについて確信に至る。

http://d.hatena.ne.jp/tsutsu-ji/20130711/1373564779

http://d.hatena.ne.jp/tsutsu-ji/20130908/1378659859

運命が君の親を選ぶ 君の友人は君が選ぶ

運命が君の親を選ぶ 君の友人は君が選ぶ

冒頭、運命君が登場するまでの梨鈴さんの立ち振る舞いに尽きる。

プリズム◇リコレクション!  初回限定版

プリズム◇リコレクション! 初回限定版

桐谷さん好きです。Berry’s が先でしたが。

http://d.hatena.ne.jp/tsutsu-ji/20130825

http://d.hatena.ne.jp/tsutsu-ji/20130804

楽しみ過ぎて体験版以来まだ手を付けていない。

妹さんに鍛えられキラキラ男子への道を駆け上がってゆくシンデレラストーリー、と思わせて一転、呪的なトラブル発生で思いもよらぬ道筋へ進んでゆくのだった。オッドアイには魔法が効かぬ、とかその眼はファッションじゃなかったのかよ。どうなるんだこれ、というとこで終わり。

あと妹さんとテレパシーで会話できる話が面白くないはずがないね。呼んだら応えてくれるのか、わーお。

クリミナルガールズ INVITATION

クリミナルガールズ INVITATION

Vita版が出たのでまたやってる。コマンド戦闘のRPGであるが、コマンド選択肢は全てパーティーメンバーのセリフで、それが会話の切り口になって、選ぶと会話が発生してそこにみんなの行動が伴う。ひとりが、かわいいやつ、続けー、と言って、誰がほいほいついてくるのか。それあんたも入ってるの?というやりとりであるとか。攻撃しながら会話するのではなく、会話に攻撃が伴うのである。

ハンザらしい生き様とは。僕はリューベックに塩漬けのニシンが山積みされる様を見たかっただけなのだが、強国に囲まれた地勢がバルト海へぷかぷか船を浮かべて生き続けることを許さないのだった。新大陸を手中におさめ、アジア、インドへと進出したとき、しかし、かつて見たニシンの夢を思い出した。新大陸こそが夢、まぼろしだ。僕は北方の海に生きたい。

ほか、4、5本くらいだと思います。

カードをひたすら合成するタイプのゲームは向いてないと思った一年でした。そこんとこどうも好きになれない。カードが吸収されて数字になるんじゃなく、カードがスタックされるならいいんじゃないかという気がします。

あと、今年は新作のゲームブックけっこうやってた。来年は思緒雄二の新作も出るし、この傾向は続くと思う。思緒さんが紙でなくアプリで作る、というのが楽しみなところ。

雪村クロニクル II

D.C.III R 桜風のアルティメットバトル!の結果、これで雪村杏の中学入学から大学2年までの様子が描かれたことになります。彼らの話は D.X. で終わりのはずだったので、ちょっとはみだしちゃったね。

雪村に何があったかを読み返してまとめようと思いつつ、7年も前からの分をまた辿り直すのはなかなか手を出せないでいるのでした。

まずは雪村関係の話だけ編年体にしてみました。

2053年4月~2054年3月 中学1年

 6月 「雪月花」(D.C.II T.Y)

2054年4月~2055年3月 中学2年

 3月【卒業パーティー】「春風のアルティメットバトル!」(D.C.II S.C.)

2055年4月~2056年3月 中学3年

 5月【春季体育祭】「薫風のアルティメットバトル!」(D.C.II S.C.)

 秋 【文化祭】「秋風のアルティメットバトル!」(D.C.II F.L.)

 12月【クリスマスパーティー前】聖夜のアメージングストーリーズ「D.C.II ~Day Dream Believer~」(D.C.D.X.)

 12月【クリスマスパーティー前】D.C.II 本編。

 冬  D.C.P.K.

2056年4月~2057年3月 高校1年

 秋 【体育祭】「恋のアルティメットバトル!」(D.C.II F.L.)

2057年4月~2058年3月 高校2年

 【2057年の生徒会長就任から、2058年4月の新入生歓迎セレモニーまで】あふた~すと~り~ず「騒々しい未来」(D.C.II S.C.)

 秋 茜のあふた~すと~り~ず「ちょっとだけ、おもいで」(D.C. II F.L.)

2058年4月~2059年3月 高校3年

 3月【卒業パーティー】風見学園演劇部~卒業公演~「スレイプニルバレー殺人事件」(D.C.II S.C.)

2059年4月~2060年3月 大学1年

2060年4月~2061年3月 大学2年

 4月、5月「桜風のアルティメットバトル!」(D.C.III R)

D.C. シリーズにおける出来事の流れかたは一様じゃないのだけど、なるべく整理してみると、

・雪村個人の話の流れ

 本編→騒々しい未来→スレイプニルバレー殺人事件。

 雪村と義之が結ばれた中学3年から高校卒業までの話。

 本編における他の女の子の話で示される内容は前提とされない。

 雪村の記憶をめぐる不思議な出来事がなぜ起こったのかは、ふたりにとって判らないままである。雪月花はきっと三人。

 

・雪月花の三人、あるいは四人の交流に焦点を当てた流れ

 雪月花→ちょっとだけ、おもいで。

 雪月花が四人であることは本編の花咲茜の話で示されるのだけど、そうであることを電話越しに支えてくれたのは記憶力を失った雪村の言葉だった。雪村が記憶力を失ったことによる話の展開は本編の雪村と義之が結ばれる流れでしか起こらないことなのだけど、アルティメットバトルをはじめ、たまたま同じたけうちこうたさんが書いてるがために女の子同士の話にやや繋がりが想像される。しかし、雪月花は三人でもよいし、四人でもよいと思う。

・仲間たち全員のなかで雪村の活躍が見られる

 アルティメットバトル!シリーズ。

 義之が誰とも結ばれていないことが前提のシリーズ。

・D.C.II本編とは異なる時空間での活躍

 Day Dream Believer と D.C.P.K.

 本編と異なる世界で、再び雪村と義之が結ばれる P.K.。大胆だ。

 Day Dream Believer は時間遡航した雪村の目を通して D.C.の芳乃さくらの部屋について語られるという、雪村的にも芳乃さくらの部屋を愛する者としても嬉しい話でした。

 http://d.hatena.ne.jp/tsutsu-ji/20111230/1325195055

 あとで、たけうちさんのWebを見てもそういう風にあって、やはりと思いました。

今まで僕にとって「不可侵」としてきた前作の領域に踏み込むことになったので、自分なりの前作リスペクトを盛り込んだつもりです。

http://www.geocities.jp/kots_tea/games.htm

以上、見てきたものの、僕はこれでもシリーズを網羅していないので、まだどこかで雪村が重要な立ち回りをしていることがあるのかもしれません。

さて、それぞれの話で雪村は義之と結ばれていたり、そうでなかったり、別の世界や過去の時間に行ってしまったりして、理屈でいえば全体の出来事は連続してないのだけど、なんとなく編年体で配置できる程度にはエピソードが春夏秋冬のイベントに沿って並んでいて、それで雪村の中学入学してから大学2年生までのことがずっとそこにあったように思えるのだな。

時間の感覚としては、高校卒業前の「スレイプニルバレー殺人事件」が良くって、自主製作映画で、彼らが大学生になった自分たちの役柄として出演しているのだ。未来はそんな風に演じることで予感されていた。

最後のエピソードとなった「桜風のアルティメットバトル!」は、それとは逆に大学2年生、あるいは就職した彼らが中学3年生の時間を演じる歓迎パーティーだった。失踪し、遠い時間旅行を終えて帰ってきたさくらさんを迎えるために、失踪前の時間である過去すらもそんな風に華やかに生み出されていたのだった。

D.C.III R ~ダ・カーポIIIアール~X-rated

D.C.III R ~ダ・カーポIIIアール~X-rated

D.C.Dream X'mas ~ダ・カーポ~ドリームクリスマス 初回特典版

D.C.Dream X’mas ~ダ・カーポ~ドリームクリスマス 初回特典版

D.C.II Fall in Love ~ダ・カーポII~ フォーリンラブ 初回限定版

D.C.II Fall in Love ~ダ・カーポII~ フォーリンラブ 初回限定版

D.C.II To You ~ダ・カーポII~トゥーユー 初回限定版

D.C.II To You ~ダ・カーポII~トゥーユー 初回限定版

D.C.P.K.~ダ・カーポーカー~ 初回限定版

D.C.P.K.~ダ・カーポーカー~ 初回限定版

D.C.II Spring Celebration 初回限定版

D.C.II Spring Celebration 初回限定版

D.C.II P.C.~ダ・カーポII~プラスコミュニケーション 初回限定版

D.C.II P.C.~ダ・カーポII~プラスコミュニケーション 初回限定版

コンピュータ占い

占いっていうか、はい、いいえ、でずっと答えていったら最後、あなたにぴったりの彼はこんな人、みたいなのあるじゃない。猫撫では特定の誰かの話へ進むための選択肢がそういう文脈を積み重ねた末に出てました。運命が君の親を選ぶ、君の友人は君が選ぶ、はわりとタイトル通りで、親の決めたことをきっかけとして、だけど、誰かを選ぶのだな、占いめいたフレーバーなしに、選ぶか選ばないかのふたつにひとつだけがそれぞれの女の子のために置かれ、コンピュータによって隠された数字には神秘を求めない、むしろそれが彼らの占いのあり方を示してる。

運命が君の親を選ぶ 君の友人は君が選ぶ

運命が君の親を選ぶ 君の友人は君が選ぶ

藤木さん、ロマンチックねぇ。猫撫で僕が好きなのもだいたいそういうところでした。

東京の夜にぽっかり開いた窓みたいな星空へ鳴り響けカリヨン。

ベリー・ベリー・ストロベリー

小降りだったので傘を差してなかったところ、急にまわりの木がさーっと音を立てはじめて、そして僕にも大きな雨粒が当たってきた。高くて枝を八方に伸ばしてる木のほうが、針の頭みたいな僕よりも先に雨を受けるのだ。だから雨は、音が先にやってくる。

それはデニーズからの帰り道で、ファミレスが舞台のゲームを終えた記念に夕食からデザートにコーヒーまで堪能して、歩いてたところだった。

f:id:tsutsu-ji:20130908183241j:image:w300

Berry’s へようこそ。おひとりさまです。進路に迷う受験生のひとの話だけど、未来を欲張らない後日談が多くて好き。道は定めるけどいきなりなにかになったりはしない。前にも書いたけど、いつか京都へ行こうって言ってるのに後日談では別の場所を旅行してて、来年こそは京都いこうねってまだ言ってるの。 http://d.hatena.ne.jp/tsutsu-ji/20130804

早生「来年こそは祇園祭に行かなきゃだし」

夏姫「うんっ、行く行く!」

いつもゆく手がなんとなくでも定まってたら、ラッキーじゃないかしらね。

小さな悩みは小さく解決すればいいし、大きな仕掛けはエレガントに解いてみせればいいという波風のさばきかた、気の利いた言葉のかみ合い方も好み。

Berry's 初回版

Berry’s 初回版

Sphere の太刀風雪路、朝倉誠理作品ということで、いつもながら兄妹姉妹と長幼の絡まりが香ばしいです。早生は高校3年生だけど新しいバイト先の Berry’s では1年生や2年生の人たちの後輩になって働く。そのために年下であるけれど大人っぽいという人が引き立つこともあるし、逆転によってからかわれたり距離が近くなったりもする。春姫と夏姫の双子の姉妹も双子であるか姉妹であるか独立した個人であるかをそのときそのときで渡り歩いてく。

あとは妹さんのこと。一つ屋根の下、味覚を共にしてきた兄妹であるがゆえにファミレスが重要な舞台となります。

http://d.hatena.ne.jp/tsutsu-ji/20130711

早生「束原さんは、なんでもゲームに例えるね」

薫乃「……人生経験乏しいですから、そんくらいしかわかんないんで」

(中略)

早生「前にさ、兄妹の禁断のゲームって言ってたよね?

   それってどうなの? ……結末とか」

薫乃「あたしはネトゲメインなんで、ギャルゲーはネットの評判しか知らないですけど」

薫乃「おおまかにはカジュアル系とタブー系があるみたいすね」

早生「なにそれ?」

薫乃「兄妹でも愛があればいいよねっ!! って軽いノリの奴と、

   兄と妹って関係に悩む暗いノリの奴です」

早生「へぇ、そんな区別があるんだ」

薫乃「でもまあ、オチは大体同じっす……」

薫乃「ハッピーエンドってヤツっすよ!」

イモウトノカタチでいろんな生き別れの妹さんとの関係を閉じてきたためか、ヨスガ以来もういちど生き別れでない、生まれながらの妹さんを描くにあたっては、ふたりの関係の閉じ方よりもこれまで兄妹としてどうやって長いこと付き合って来たのかというほうが注目される。それで、ちっちゃい頃に起きた食べ物の事件ってずっと気にするもので、僕もちいさいころ誤って食べた姉のドーナツのこと、ひどく泣いてたことを未だに気にしているのですが、だけど気にすることによって積み上げられてきたこともあって、高気圧に低気圧、兄妹天気図の荒れ模様はしかし、ファミレスのスイーツ物語へとスライドしてゆく。

祐佳「生クリームとメイプルシロップを、たぁ~っぷり使ったハニーなケーキなの」

早生「……ハニーは蜂蜜で、メイプルシロップとは違うぞ」

祐佳「あ…………」

祐佳「比喩だもん……」

早生「ごめんっ! 今のなしっ! 比喩だよな、比喩っ!

   愛しい人って意味でのハニーだよなっ!?」

祐佳「そうだよ……『マイスウィートハニー』のハニーだもん……」

お前の語彙の出所はどこなんだ、マイスウィートシスター。

最後の会話も甘く転がってゆく。兄妹といえば食べ物が問題になるということもそういえばヨスガ以来の意識でした。兄妹というのはおいしいご飯を食べたりまずいご飯を食べたりする共同体でもあります。

まったく、ごちそうさまでした。

(2013/10/29追記) VFBにシナリオの主担当がでていました。

太刀風さんが由那、恵那、踊子、

朝倉さんが春姫、夏姫、祐佳。

判ります、と自信をもっていいたいところだけど、他の作品だとまだぴんとこない。

リコレクション・リフレイン

最後の連城紗耶香を終えたので補足。本編でもだいたいそういう話だったといいます。

紗耶香「そうそう、そういう昔の光景をARシステムを使って三次元投影するのも面白いと思うんです」

紗耶香「今の図南の姿に重ねて、昔の図南を見られるというのも、新たな観光案内の手段と成り得る気がしませんか?」

昌信「今の案内だけではなく、昔の案内もできるわけか。いろいろな場所で年代別の変遷を追えたら、なかなか面白い発見に繋がりそうだな」

例の交通博物館の再現のために撮影された写真はそれだけで4万枚に達する。はっとするような景色には、ある程度の時間的・空間的な密度を要するだろう。紗耶香は一日100枚ペースで小学校上がる前くらいから図南を撮り続けている。日々の体験としての写真は極端に多い人で年間6万枚、数十年かけて100万枚近くに達しているという場合もある。紗耶香もやや足り無さを感じたのだろうか、最後の写真展ではいきなり上で言っていたような三次元投影までゆかない。

街の古い写真というものは個人所蔵のものを集めて公共施設でギャラリートークのようなことが行われていたりするし、文京区ならば昭和52年以降、定点・複数方向で撮った写真を残してくれていて有り難い。

http://www.city.bunkyo.lg.jp/rekishikan/history/machinami.html

これはWebではほとんど公開されてないが、館内ではすべて閲覧できるのだ。

紗耶香は自分の好きな水族館については毎年撮影していたので、それで明らかになったこともあって、やや機械的に時間や場所を意識して撮ることも大事だと思う。それで、この人のほかにそういう人がたまたま何人かいたら、あるいは公共の力も合わせて、そういうことの積み重ねで、昔を知ってる人に届くだけじゃなく、なんでだか判らないけど昔のことを知りたくてならなくなった僕みたいな人に届くのだとしたら嬉しいと思ってて、そういうこともあって最近自分も変わってく街の写真を撮り続けているのである。

いまから10年とか20年経ったとき、どうということはないこの写真をただその時その場所で撮られた記録として探してる僕みたいな人がひとりくらいはいるだろうってことは普通に信じられて、そのひとの喜ぶ顔なんか想像したりしてる。

プリズム◇リコレクション!  初回限定版

プリズム◇リコレクション! 初回限定版

図南という架空の街の歴史や地図への思い入れがだだ漏れよね。

紗耶香「あ、そうそう、ちょうどこのあたりなんかは、以前は大きな広場があったんですよ」

紗耶香「夏祭りの時期には太鼓が鳴り響いて、盆踊りを踊って……屋台もいっぱい出ていました」

紗耶香「温泉の湯量が激減したあたりから、観光客が減ってしまって、そういったお祭りも規模を縮小せざるを得なくなってしまって」

このか「広場もなくなってしまったと」

紗耶香「そういうことです。あの広場にはサーカスが来ていたこともあったんですが」

サーカスの突拍子なさも含めて、紗耶香が過去に見たという風景には信のおける感じがあります。秋葉原でも昔はサーカスやってたんだよ、って思ったの。