メディアとしての選択肢

六ツ星きらりのぱっと目を引くところは,フィクションの人物があるとき選択肢に遭遇し,彼のマウスらしきものを動かしてその選択に迷っている,その様子が僕にも見える点である.逆選択肢とでもいうべきそれは裏返し文字で右から左へ表示される.つまり画面の向こう側からだと正しい向きで読むことができるようになっている.

ゲームにおいて僕が選択肢と対峙しそして迷うものだとすると,向こうももちろん同じようなスタイルで迷ってなくてはならないわけである.その僕らとフィクションの人たちとが非対称であることを許さない態度が僕は好きだ.

この話をもう一度裏返すと,僕が迷い箸みたいにマウスをうろうろさせて選択に迷う様子は先方にもきっちり見えてしまっていることが容易に想像できる.ここで選択肢とは内面に存在するものではなく,対面する僕と彼の間に立ち現れる双方向のメディアとなっている.僕らとフィクションの人たちとの対話はこのような新しいメディアによって築かれるものと思われる.


六ツ星きらり(千世)11/5発売予定.体験版にて.

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