うた∽かた #3, #4

中学二年になるまでに見てきたものっていうのはお互いたかが知れていて,自分と他人との間に違いがあることは判っても違いを引き比べることは出来ない.本人が意識しているほど周りの人はその人にレッテルを貼ってないし,変な言い方ではあるが本人が意識しているほど本人もそれを意識できていない.語彙の不足はいかんともしがたいのである.一夏は自分の足りなさについていろいろ悩むわけであるが,足りないのだから彼女が悩もうとしているものは彼女にとって判りようもない.そうするとどんどん真っ暗な気持ちになりそうであるが,お礼の言葉だけはちゃんと交わされるという救いようのある話だった.それで一夏の悩みの種が増えたとしてもそれはまあもともとどうしようもないことなので,お礼の言葉はもらえないよりもらえたほうがずっといい.

恥ずかしい代物は恥ずかしい人を呼び寄せるものなのでそれに甘えて言ってしまうと,僕は一夏のこと他人とは思えないので,ちょっと肩入れの度合いが大きいかも知れません.なんてね,クラスに1人は必ずこういう子が居るんだよと思うこの自意識のことも,おそらく僕はなにも判っちゃあいないんです.

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