遥時3・リズヴァーン編

圧倒的なサークレイトロマンス.参りました.

下品な説明にはなるが,やはり関連作品としてPrismaticallizationの名は外せない.
主人公の望美の立場で行動し,自分がリズヴァーンと共に過ごせるよう運命を上書きしつづける間には自分がやっていることはただそういう営みとして体感できるものでしかない.しかし,リズヴァーンも望美と同じ立場で望美のために同じような何百周を行っていたのだと判ったとき,それは言葉へと変わる.告白されてはじめて自分の気持ちにも気付いただなんてよく聞く話であるが,自分ががむしゃらに彼を追いかけていたことの理由は,自分と同じことをしていた彼の告白によってドラマチックに確信される.
プリズマの後半ではそれが何か一つ違えれば失われてしまう僥倖ならばこそ必死に掴みたい気持ちになったが,そのときの僕の気持ちをそのままリズヴァーンの行動の中に見て取ることが出来た.僕はきっとあのときこんな風に思っていたのだなと,外から観察するような気分だった.もしも琴原みゆが射場荘司の写し身であったならばプリズマはロマンチックな話となっていたのだろう.実際はどちらかといえば柊明美のほうが彼に近く,時を越えたりしないその関係はたゆたう甘酸っぱさを僕の胸に残してゆく.

さて,望美とリズヴァーンが共に生きられない運命を抜け出せる理屈はシステムの中に含まれており,納得しやすいものとなっている.遥時3では人物の成長は身体的なものではなく宝珠を源泉とする特技獲得によるものである.そしてこれ以上は明示的には語られないのだが,運命を上書きする過程において仲間の記憶は失われるが特技が保存されてゆく理由は龍神の力が時空を越えることから容易に連想可能なものとなっている.リズヴァーンは望美の剣の特技を鍛える師匠であり,彼と望美との絆の関においては剣技の成長を要することが多いが,それはLV0からLV5へと発展するリニアな性質を持ち,知ってか知らずか運命上書きシステムを横断するものとなっている.最後に突然,師弟の戦いへ突入するわけは,彼らにとっても何となくこのことが意識されたためであっただろう.

リズヴァーンの望美に対する言葉にはおよそ二つのパターンがあり,それは「お前は常に決断する(そして私はそれに従う)」というものと「これは私の意思である」という矛盾したものであるが,互いに時空を越えて運命を上書きしあう関係にある以上,そうであるとしかいいようがないのだろう.そうしてみるとこれは運命なんてよく判らないという常識的な話であり,SFもオカルトもないその場所にはただロマンスだけが発見される.

二人の暮らしぶりを描く最後のスチルが幸せです.


遙かなる時空の中で 3

遙かなる時空の中で 3

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