僕はカステラが好きだったのかな.

大切なことだからもう一度書くのだけど.

昨日通販で届いた讃岐うどんのセットが目に付いた.

元々は美琴の為に取り寄せたのだが,反応はイマイチだった.

「子供の頃,うどんが好きだったから,喜ぶと思ったんだけどなぁ」

(「恋色空模様」より)

君はどんなけお母さんなのか.

ま,人の好みってのは常に変化するものだしな.

特に子供の頃,好きだったからといって,今も好きかどうかは分からない.

昨日好きだったものが今日違ってるのは当たり前で,しかも,何歳になっても親と子では流れてる時間の速さが違っていてね,実家から宅配便に包まれてやってくる好みはおのずとずれてゆくのだけど.

僕の代わりに僕の好みを覚えていてくれるのだ,と時々思うこともあります.

(初出: http://d.hatena.ne.jp/tsutsu-ji/20100717

上のは兄貴の独り相撲に終わったけれど,別の兄妹のことも採り上げておきたい.

生き別れで再会した兄妹の会話である.

秋穂「そうだ,にいにいはハンバーグが大好きだったよね?」

公人「……そりゃ,昔の話だよ.それに今は食材がない」

秋穂「あ,そっか,昔の話か……でも,食材ならあるよ.ほら!」

公人「豆腐?」

秋穂「お豆腐のハンバーグ! 食感も味も全然違うけど,結構美味しいよ?」

秋穂「お肉は~……あ,全然ないね.なら丁度いいよ,今晩はヘルシーに行こうぜ!」

公人「へえ,豆腐のハンバーグか.美味しそうだな」

(「妹スマイル」より)

昔の好みの話を持ち出しても戸惑われるだけだったりするのだけど,そしたらそこはねぇ,元気よく新しい方向へ振っちゃう.ふたりで新しい食事の記憶をつくってゆけばよいのだ.今晩はヘルシーに行こうぜ!

じゃ,最後にもういっこ.再会した幼なじみの会話.

ひよ「……だんなさまは昔から,”和”がお好きでしたわね」

 みんなにはっきり言った事はなかったんだけど,ひよは会話の節々や俺の態度からそれを察していたんだろう.

 あの日の献立だって--

笹丸「でも,よく憶えてたな.あれって子供の頃,クラスで”みんなは大きくなったら何が食べたい?”とかの話になった時に俺が言ったものだろ」

 みんなが”フランス料理”とか,ちょっと物知りな奴が”満漢全席”とか言っている中,俺は地味に”おろし明太”とか”ひじき煮”とか答えた.

 憧れだったんだ.ずっとずっとそういった料理に憧れていた.

ひよ「だって……」

 ひよは少し恥ずかしそうに,

ひよ「いつか,だんなさまに作って差し上げたいと思って……ずっと練習してきましたから……」

 そう言った.

(「きっと、澄みわたる朝色よりも、」より)

笹丸は幼い頃と好みが変わらない.というのもそれは好みではなく何が食べたい?という程度の話がいちいち憧れの域に達してしまっているからで,そういう面倒くささを抱え込んだ彼だからこそ,ひよの献身は母親が巣立った息子にするときのようなずれを伴わずに受け入れられている.

だけど,僕の好みはどんどん変わってゆくし,会話の機転だってないもんだからさ,母から何たべたい?と聞かれたときに何々が食べたいとはっきり答えること,おいしいものに必ずおいしかったよと伝えることが,お正月や電話口での僕のたいせつな仕事だと考えています.

恋色空模様

恋色空模様

普通っぽい女生徒たちが当たり前のように武装して戦ってる様子が痛ましかった.

妹スマイル

妹スマイル

冒頭でマイ妹を選ぶゲームなんて久しぶり.兄妹の会話がなにかと味わい深いです.

公人「デザートは,作れそうだな」

男は胃で捕まえろって言うけど,それは逆にも当てはまる.

暦に見つかったら,それはあたしのセリフって言われそうだけど.

きっと、澄みわたる朝色よりも、 豪華初回限定版

きっと、澄みわたる朝色よりも、 豪華初回限定版

人の悪意にあてられて何度も胸が苦しくなりました.辛い.

アララギの笑顔には目頭が熱くなります.

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