夏目漱石「こころ」

妹の力,あるいは姉の力が欠けているのだとしても全くの戯れ言ではなさそう.東京にあって彼女らに代表されるような親族は身辺の都合で連絡が弱かったり,もはや他界していたりする.もしも野々宮兄妹のいる世界を十とするならば,十全でなく一が十集まっただけの,あるいは二三の欠けを見つけることのできる寂しい気持ち.

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