語の使われ方から見た Interaction

人と人工物とのやりとりに着目する場合,Computer Human Interaction (CHI) もしくは Human Computer Interaction (HCI) は Computer Human Communication / Human Computer Communication よりもよく利用され,情報科学における著名な会議・学会名にもなっている.Human Human Communication というのは Human を省略したとき Communication という語がふつう人のそれを指すためにあまり使われないが,情報科学では Communication といえば通信のことを指したり,相手が人間でなく人工物であることも珍しくないので,人間同士のそれであると確認したり強調したいときに使われる.Human Human Interaction という言い方も Computer Human Interaction に比べるとあまり使われないが,人同士の Interaction のみを人と人工物との間のそれや一般的な Communication と区別して同じ程度の広がりをもって議論する意義は,現在,共有されていないということだろう.

あとは言語と同じようには扱いにくい音声や身振りについて論じるとき,人同士でも Interaction という語が使われがちな気がする.

以上では Computer に対応する語として人工物を当てている.現在,家電やロボット,住居や町などのさまざまな場所に Computer が埋められて人とやりとりをするのが普通になって,従来,独立した計算機として議論してきたことの延長でそうした人工物も語られるようになっている.ここではHCI 分野で取り扱われている範囲を正確に書きたかったので一般的ではないがこのように当てた.Computer の含む範囲が広がった結果として,Interaction という語に対して○○Interactionと限定する意味もなくなりつつある.人と誰か何かとの Interaction が僕らの暮らしにおいていつでもどこでも起こっているという認識の元で,ただ「インタラクション」とのみ呼ばれる国内会議がHCI分野においてこのところ盛況である.

情報科学の歴史から言えば,HCI分野やその近辺では人がものを言わぬ機械とやりとりすることに着目してきたため,ものを言わぬ側にとって出来ることが高度になってきた今でも引き続き Interaction という言葉を用いるのだと思う.一方で人の言語・会話能力に着目する立場からは,音声/言語/コミュニケーションと,音声以外の非言語的表現をそこに加えるくらいの区分けから始めたので,たどり着く先が人と人工物がやりとりするという同じような場所であったとしても,Interaction という語はあまり使われていないように見える.

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