このラノ読んでいちばん面白そうだったのだけ一冊.
しずるさんが警察の動く力に期待するさまは彼女がよーちゃん越しに見る外界のあり方で,しずるさんがよーちゃんを通じて見ているものはきっと人情や地に足のついた様子をゆき過ぎてファンタスティックな実際.よーちゃんの住んでいる場所をしずるさんなりに語ってみるとそれははりねずみチクタのぼうけんになっていて,よーちゃんの告げた行動にすらすらと応じておはなしを紡いでゆけるのは,よーちゃんのいない時間にそうしたことをずっと考えているから.
語るべきことがあって,何度も考えたような大切なことで,絵に描いたようにそれが見えているということがひとつ.あとその絵を訪れたいと思ってくれる人がいるってことがひとつ.ちいとも詰まることなくスムーズにおはなしが作られてゆくのはそんなときで,しずるさんはそうしたときのゲームマスターの気持ちに似ていました.
- 作者: 上遠野浩平,椋本夏夜
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2003/06
- メディア: 文庫
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裏表紙のはりねずみがよいです.ってあれ,上の書影,僕がもってる表紙と絵が違うんだけど,なんでだ?