しずるさんと偏屈な死者たち

このラノ読んでいちばん面白そうだったのだけ一冊.

しずるさんが警察の動く力に期待するさまは彼女がよーちゃん越しに見る外界のあり方で,しずるさんがよーちゃんを通じて見ているものはきっと人情や地に足のついた様子をゆき過ぎてファンタスティックな実際.よーちゃんの住んでいる場所をしずるさんなりに語ってみるとそれははりねずみチクタのぼうけんになっていて,よーちゃんの告げた行動にすらすらと応じておはなしを紡いでゆけるのは,よーちゃんのいない時間にそうしたことをずっと考えているから.

語るべきことがあって,何度も考えたような大切なことで,絵に描いたようにそれが見えているということがひとつ.あとその絵を訪れたいと思ってくれる人がいるってことがひとつ.ちいとも詰まることなくスムーズにおはなしが作られてゆくのはそんなときで,しずるさんはそうしたときのゲームマスターの気持ちに似ていました.

しずるさんと偏屈な死者たち (富士見ミステリー文庫)

しずるさんと偏屈な死者たち (富士見ミステリー文庫)

裏表紙のはりねずみがよいです.ってあれ,上の書影,僕がもってる表紙と絵が違うんだけど,なんでだ?

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