さくらむすび

5年くらいかかった気持ちでいたけれど,2年と少しだった.自分を煩わせるものであり守ってくれるものであるぜんぶと絡み合ってくるので,僕のなかでいろいろ片付いてないと読めなくて.少し読んでは止め,また始めから読んでは,止めの繰り返しでようやく最後まで.

化け物,と邦彦が言語化してくれたのが助け船で,おかげで最後まで読めたのだと思う.そのせいもあってか桜の下に立つお化けに対して風船ウサギのような詩情を感じ取る余裕を持つこともできた.だからお化けの立つその場所へ,妹の手をひいて,おそらく最後には負ぶって,夜の桜の下を駆けてゆく情景は苦くて美しい.

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