リアリア(2)

言葉にならない思いを秘めている,というのは一方で言葉になるような思いもあるという世界観だけど,カエちゃんの場合,言葉になるほうの思いもなくて,全体に言葉とそうじゃないところとがあんまり繋がらない感じがするのね.僕は,妙なことを口走りがちである,というこの人の性質を大きく採り上げたいので.深いところ,というのは複雑さとか裏側ではなくて,距離の遠さ.

リアリアでは,楓の思い出,という形で彼女が饒舌に思いを語るのを聞くことが出来るんだけど,回りくどい形をとる.恋人や友人たちが元に戻した楓の思い出を,彼らが自身が再生して聞くのね.直接に僕が聞くんじゃなくて.

カエちゃんの内なる言葉がはっきりした形で出てくるのは,彼らがそれに耳を傾けることによる.そうでないときに,たぶんこの人はこういう形での言葉を持たないんじゃないかしら.

天然,と一言で評されがちな人についてもっと語る言葉はないのか,ということでウロウロしているわけですが.

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