ベリー・ベリー・ストロベリー

小降りだったので傘を差してなかったところ、急にまわりの木がさーっと音を立てはじめて、そして僕にも大きな雨粒が当たってきた。高くて枝を八方に伸ばしてる木のほうが、針の頭みたいな僕よりも先に雨を受けるのだ。だから雨は、音が先にやってくる。

それはデニーズからの帰り道で、ファミレスが舞台のゲームを終えた記念に夕食からデザートにコーヒーまで堪能して、歩いてたところだった。

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Berry’s へようこそ。おひとりさまです。進路に迷う受験生のひとの話だけど、未来を欲張らない後日談が多くて好き。道は定めるけどいきなりなにかになったりはしない。前にも書いたけど、いつか京都へ行こうって言ってるのに後日談では別の場所を旅行してて、来年こそは京都いこうねってまだ言ってるの。 http://d.hatena.ne.jp/tsutsu-ji/20130804

早生「来年こそは祇園祭に行かなきゃだし」

夏姫「うんっ、行く行く!」

いつもゆく手がなんとなくでも定まってたら、ラッキーじゃないかしらね。

小さな悩みは小さく解決すればいいし、大きな仕掛けはエレガントに解いてみせればいいという波風のさばきかた、気の利いた言葉のかみ合い方も好み。

Berry's 初回版

Berry’s 初回版

Sphere の太刀風雪路、朝倉誠理作品ということで、いつもながら兄妹姉妹と長幼の絡まりが香ばしいです。早生は高校3年生だけど新しいバイト先の Berry’s では1年生や2年生の人たちの後輩になって働く。そのために年下であるけれど大人っぽいという人が引き立つこともあるし、逆転によってからかわれたり距離が近くなったりもする。春姫と夏姫の双子の姉妹も双子であるか姉妹であるか独立した個人であるかをそのときそのときで渡り歩いてく。

あとは妹さんのこと。一つ屋根の下、味覚を共にしてきた兄妹であるがゆえにファミレスが重要な舞台となります。

http://d.hatena.ne.jp/tsutsu-ji/20130711

早生「束原さんは、なんでもゲームに例えるね」

薫乃「……人生経験乏しいですから、そんくらいしかわかんないんで」

(中略)

早生「前にさ、兄妹の禁断のゲームって言ってたよね?

   それってどうなの? ……結末とか」

薫乃「あたしはネトゲメインなんで、ギャルゲーはネットの評判しか知らないですけど」

薫乃「おおまかにはカジュアル系とタブー系があるみたいすね」

早生「なにそれ?」

薫乃「兄妹でも愛があればいいよねっ!! って軽いノリの奴と、

   兄と妹って関係に悩む暗いノリの奴です」

早生「へぇ、そんな区別があるんだ」

薫乃「でもまあ、オチは大体同じっす……」

薫乃「ハッピーエンドってヤツっすよ!」

イモウトノカタチでいろんな生き別れの妹さんとの関係を閉じてきたためか、ヨスガ以来もういちど生き別れでない、生まれながらの妹さんを描くにあたっては、ふたりの関係の閉じ方よりもこれまで兄妹としてどうやって長いこと付き合って来たのかというほうが注目される。それで、ちっちゃい頃に起きた食べ物の事件ってずっと気にするもので、僕もちいさいころ誤って食べた姉のドーナツのこと、ひどく泣いてたことを未だに気にしているのですが、だけど気にすることによって積み上げられてきたこともあって、高気圧に低気圧、兄妹天気図の荒れ模様はしかし、ファミレスのスイーツ物語へとスライドしてゆく。

祐佳「生クリームとメイプルシロップを、たぁ~っぷり使ったハニーなケーキなの」

早生「……ハニーは蜂蜜で、メイプルシロップとは違うぞ」

祐佳「あ…………」

祐佳「比喩だもん……」

早生「ごめんっ! 今のなしっ! 比喩だよな、比喩っ!

   愛しい人って意味でのハニーだよなっ!?」

祐佳「そうだよ……『マイスウィートハニー』のハニーだもん……」

お前の語彙の出所はどこなんだ、マイスウィートシスター。

最後の会話も甘く転がってゆく。兄妹といえば食べ物が問題になるということもそういえばヨスガ以来の意識でした。兄妹というのはおいしいご飯を食べたりまずいご飯を食べたりする共同体でもあります。

まったく、ごちそうさまでした。

(2013/10/29追記) VFBにシナリオの主担当がでていました。

太刀風さんが由那、恵那、踊子、

朝倉さんが春姫、夏姫、祐佳。

判ります、と自信をもっていいたいところだけど、他の作品だとまだぴんとこない。

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