雪村のことを書いたら満足して止まってしまっていた.
音姉の声がゲームとアニメで異なることと,ストーリー,あるいは見せ方の違いが不可分になっている.義之が朝倉家をはじめて訪れる回想場面の見所は,音姉と由夢が現在と正反対の姿を見せる点である.由夢っちは小さいころはあんな人懐っこかったのに,今はツンとしてなくてはならなくなってしまって不憫である.ここんところはゲームでもアニメでも同じだが,音姉はそうでない.ゲームはピーキーな声で,つまり高いところで調子よく回せる声で弟くんへの溺愛っぷりを示す音姉が,小さい頃にはぜんぜん回ってない低いところで話す.玄関での出会い頭にこの落差がガツンとくる.アニメの声の人はもっと安定したところで回すので同じようにはゆかない.で,どうしたかっていうと,小さい頃の音姉を玄関に出さず*1,ずっと引っ張ってそのまま喋らせないのである.そしてこの無言の緊張は義之が和菓子を出すところでようやく解かれることになる.
ゲームの音姉が地面から離れた高いところの声を出すのは話の展開上意味があって,この人は自分の使命と信じるものを無理に忘れて弟くんと楽しい日々を過ごしていた,その無理っぽさが声にあって.この自分にかけた忘却の魔法は昔のアルバムを見たときに解けてしまう.一方,アニメの音姉はアルバムに関係なく自分の使命を覚えている.上下に揺さぶるよりはしっとりと進めてゆくのがアニメのほうの意図だろう.
*1:EDロール中のスチルとは矛盾するが……