D.C. II S.S. #8

ちょっと話数が飛んだけど,これだけまずは優先して.

さくらさんが手紙を書いている部屋の家具は,D.C.初代ゲーム版のさくらの部屋とほぼ同じ形とレイアウトである.懐かしい.場所はいつものこたつの居間と縁側の間ね.夏場はこっちが居間になる,という話がD.C.II P.S.のどこかに出てきた.

ちなみにこのレイアウトはアニメのほうのD.C.(ファーストシーズン)には登場しない.もう少し正しく言うと#17, #21に出てくるがPC周辺しか見せず,全体のレイアウトは映さない.彼女の表向きのイメージに反して機械的で寂しい感じのする部屋であるため,ファーストシーズンではあえて見せなかったと思われる.アニメの純一は音夢のことが好きであったから,さくらの気持ちを全て受け止める術はない.出来ないものは見せなくていい.ゲームの場合,さくらと結ばれる筋があるから見せていい.

今回,部屋を見せたのは初代へのオマージュと,あとアニメの話がちゃんとさくらさんで収束する所以と思われる.PC版のD.C.IIで行方知れずとなったさくらさんは,アニメの最終回あるいはD.C.II P.S.でどうにか助け出せるはずなのだが…….

昔書いたD.C.#17の感想より

芳乃さくらの部屋に置いてある,彼女の子供っぽい外見に似つかわしくない巨大なコンピュータはひとまずゲーム版と同じ形状をしている.しかし,アニメではそれをズームアップして映すだけでありゲーム版のような部屋全体を画面に収めるカットがないため,それがいかに痛々しい風景であるかは判りにくくなっている.

ゲーム版での彼女の部屋について補足しておくと,それは和室の六畳間で広いほうの一辺が縁側になっている(これはアニメ版も同じ).家財道具は縁側から見た左手の壁際に一畳半ほどの面積で収まる程度置かれているのみであり,あとはなんにも置かれていない様子をゲーム版のカメラは捉えている.置かれているものを詳しく見てゆくと,最も目立つものは消費者向けではない形状をした大きなコンピュータとその上のマニュアルらしき分厚い本を並べたラックである.その右隣に座布団とセットの低いテーブルがあり,ディスプレイ,キーボード,クライアントPC,ストレージらしきものが置かれている.すでにこの時点でいかにも成長が遅れた感じの中学三年生の女の子が持っているものとしてはおかしいが,ほかにも色んなものがあるならまだしも,これしか置いてないというのがなおさらおかしい.また,コンピュータの左隣には鏡台が置かれている.おばあちゃんのお下がりだと考えるには形状が昔風の大仰なものではないので,これはさくらが自分でわざわざ揃えたものであろう.化粧っ気のない彼女の見た目とのずれはそこにも見て取ることが出来る.ちなみにこの鏡台はアニメでは画面に映されない.

秘密は秘密として思わせぶりであるし,真っ直ぐな好意に戸惑うことはあっても,それ以上に僕らがさくらのことを気にかけてしまうようなカットはあえて省かれていることが判る.それに今回,純一がさくらにキスしなかったことで勝負は早くもついているのである.ゲーム版の出来事をそのまま持ってくるのではなく,腹立つくらいの周到さでもってちゃんと音夢がヒロインに見えるようなつくりになっているところは僕の好みで,というのも,こういう省略はゲーム版のさくらのことをよく判っていない人には出来ないはずだからである.

いまのさくらさんはすっぴんとは思い難い,というのが時間の流れである.

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