ef #11, #12

素晴らしいです.全巻揃えましょう.

記憶ていうのが時とともに薄れてゆくものとすれば,文字として記録したものは記憶であると言えない.ただ,それぞれが閉じてなくて,記憶は記録を見て変わるし記録は記憶をそのままに写さないものであるから,記憶と記録の相互の,それとそのほか周りの雑多なものとのやりとりのなかに記憶の輪郭はぼんやりとある.このやりとりっていうのは意識すればするほど劇的になっちゃうもので,a tale of memories,とはまあそのまんまです.

その意識させる要素ってのが,千尋と蓮治の物書きの気質と,千尋の記憶の仕組みでした.あとは,記憶がやりとりする相手というのは記録に限らず一時的に想起した記憶(レジスタ)でもあり得る,記憶から思い返すことで記憶を強化できる,という作中で何度も出てくる仕掛け.千尋の文字マニアックや儚さが示されるほどに,彼女の記憶においてレジスタが強く働くことがあるっていうのは隠れていって,見えなくなってたそれがときどき爆発的に出てくるところに千尋の可愛さとか,恋とか.

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