なにか大切なことを書いていたいだけなのです.僕に水を汲んでくれるもののこと.墓石になった僕の器に注がれるもの,あるいは水かけ地蔵みたいに洗い流してくれる,ほんの気まぐれに訪れて,拝むみたいなこと.
気まぐれかどうだか,機を選ぶような具合でもあって,1年や2年,ときには5年以上も手を触れないで,途中でとめておくゲームがあるんだ.偶然をよそおって,また出会うみたいにしたいのかもしれない.あらそういえばこんなゲームあったわね,なんて.
前にセーブした日付を見ると何年も前でさ.僕の人生何十年のうちの1年や2年,ときには5年以上にさ,ひとつのゲームが続いているのは,すごいことではないかなぁ.
ほんとはね,わざとあいだ空けてるんだ.このゲームが僕の人生何十年の長さに比べて確かにそこにあったと言えるくらい,長さを持てるようにね.
ビデオゲームに触れてから25年あまり.何年ものの何であるのか,セーブデータは語ってくれる.古酒を土に埋めて待つことができるような,私たちは,たぶん,そういう恋人の,最初の世代だ,とかなんとか.

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きょう,ひとつ読みかけを開けた.そんなに古くはない,1年と少しだけど,開けた瞬間に大切な香りで一杯になった.ついさっきまでずっと読んでたみたいな,ポーズを解いただけみたいな感覚だった.むかし終えたゲームを掘り出してるわけじゃない.その年月は懐かしいのではなく,ただ続いてるものとして.
僕の床下にはそういうものたちがまだ他にも埋まってる.